本が好き!ロゴ

閉じる

"To be, or not to be, that is the question." ―あなたならどのように表現しますか?

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!2級
  • Hamlet, Prince of Denmark (The New Cambridge Shakespeare)
  • by
  • 出版社:Cambridge University Press
Hamlet, Prince of Denmark (The New Cambridge Shakespeare)
Yasuhiroさま『Carol』の書評と風竜胆さま『Anne of Green Gables』の書評に触発されて、洋書の書評に挑戦いたしました!
作品は『Hamlet』です。以前、ぽんきちさま小田島雄志.訳『ハムレット』を拝読して、書いてみることにいたしました。

しかしながら、『Hamlet』は素晴らしい日本語訳の書籍がたくさん出版されており、秀逸な書評も皆様によって数多く記されております。そのため、今回は洋書を読んでみて楽しかった点をお話いたします。

例えば『Hamlet』と耳にして、まず以下の台詞を想起される方が多いのではないかと拝察いたします。
To be, or not to be―that is the question:
'Hamlet' Act3, Scene1 HAMLET

しばしば耳にする日本語訳は「生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ。」ではないでしょうか?

古今東西の名言を蒐集することが好きな私は、ある日こちらの言葉が人々を感動させる名言であると耳にしました。英語が苦手な自分でも口ずさむことができる一見単純そうな一節でしたが、正直、長らく素晴らしさを理解することができませんでした。

そこで原文を読んでみたところ、どうやらハムレットは、"生死"について悩んでいたのではなく、"義による復讐"により"人としての罪"を犯しても良いものかどうかを悩んでいたのではないかと思い至りました。
それ故この一節は、To be現状のまま理性的に胸の内の復讐心を抑えこむことnot to be激情に身を任せて行動し復讐を遂げることをそれぞれ意味しているのではないかと考えました。
もし私が日本語にするとしたら、「復讐を遂げるべきか、否か。それが問題だ。」と表現すると思います。

洗練された日本語訳も素晴らしいですが、原書から自分だけの野暮ったい訳で世界を広げていくことも、たまには面白いのではないでしょうか。


※上述の考察は、英語が大変苦手な私が、原文と試行錯誤の格闘の末に思い至った、個人的にすっきりと納得できたと思える見解でございます。もし何かお気付きの点がございましたら、ご指摘いただけたら嬉しく存じます。

下記の書評掲載URLは、数種類出版されている『Hamlet』の書籍を稚拙ながら比較してみたブログ記事です。上から順に"原書","現代英語訳","日本語訳"の書籍についてご紹介いたしております。(独断と偏見が多分に含まれております!)
これらのブログ記事も『Hamlet』をお手に取られる際の書籍選びのご参考になれば幸いでございます。
  • 本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
  • 掲載日:2017/08/16
投票する
投票するには、ログインしてください。

この書評の得票合計:57

読んで楽しい:15票
素晴らしい洞察:2票
参考になる:39票
共感した:1票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. Yasuhiro2017-08-16 11:19

    リンクありがとうございます。これまた古典中の古典を読まれましたね。to be, or not to be自体はそれだけとるとごく単純なフレーズなんですが、坪内逍遥が名(迷)訳したためにややこしいことになりました。KIKUさんの訳も話の流れから十分納得できますし、前後の文章だけ取ると坪内逍遥の訳も頷けます。Beはどう取ってもいい動詞だというところがシェイクスピアのうまいところなんでしょうね。

  2. KIKU2017-08-16 14:31

    > Yasuhiroさま
    こちらこそ快くリンクをご了承下さり、このようにコメントまでいただけてとても嬉しいです!
    実はこの頃、古典文学を読みたい気持ちが強いです。遅ればせながら古典の味わい深さをようやく感じられるようになったのかもしれませんw

    "to be, or not to be"の解釈、詳しく検証してくださり本当にありがとうございます。
    こちらのフレーズがまさか、坪内逍遥の翻訳から既にややこしいことになっていたとは存じ上げておりませんでした。
    正直、Yasuhiroさまに納得できると仰って頂けて心底安堵いたしました。(実は実際に英語に堪能な方々はどのように考察されているのかを伺いたくて、恥をさらす覚悟で書評を投稿いたしましたw)
    もしかしてこちらの台詞、シェイクスピアは"舞台上での印象的な語感"に加えて"意味に含みを持たせる"ためにBe動詞で表現したのでしょうか。稀代の劇作家、恐るべしです!!

  3. ゆうちゃん2017-08-16 14:45

    この名文の訳は、昔から問題にされていますが、この作品を読む時は、自分はあまり注意して読んだことがありません。このように説明され、訳の問題が良く伝わりました。僕は、原文で読むことはないかな・・。
    古典を何度も読む意義は、こう言う発見にもあるのですね。

  4. KIKU2017-08-17 08:51

    > ゆうさま
    こちらの台詞は昔から議論があったのですか!?
    やはり曖昧で真意を測りかねる表現なのですね。

    実は、私も初めは名言の宝庫であるシェイクスピア作品を堪能するつもりで、日本語訳の『ハムレット』を手に取りました。
    しかし第3独白の場面で、ハムレットが突然"生死"について語りだしたことに違和感を覚えました。また同時に、原文の"To be, or not to be―that is the question:"というフレーズがなぜ多くの人々を魅了するのか更に興味が湧いて、気が付いたら自分なりに納得できる答えを探し始めておりました。

    原書を読み解くために色々調べていると、確かに、面白い発見にも出会えて意外と楽しいこともたくさんありました! とても良い勉強をさせていただいたと思っております。(しかし、残念なことに英語力は依然として低迷中ですw)

No Image

コメントするには、ログインしてください。

Hamlet, Prince of Denmark (The New Cambridge Shake… の書評一覧

取得中。。。