廃墟建築家




 
  

ぐるぐると渦巻きながら伸びやかに収縮自在の夢を見る
アリスの白兎ならぬ小アインシュタインに導かれるのは、終末を逃れ避難する為に作られた葉巻形の巨大地下シ…

					本が好き! 1級
					書評数:604 件
					得票数:10215 票
					
ジャンル問わず、読みたい本を
雑多に読んでいます。
共通の、また新しい世界を
一緒に楽しめたら幸せです。
よろしくお願いします。




 
  

ぐるぐると渦巻きながら伸びやかに収縮自在の夢を見る
アリスの白兎ならぬ小アインシュタインに導かれるのは、終末を逃れ避難する為に作られた葉巻形の巨大地下シ…




 
  

耽美なる奇想幻想が、星座を成すように美しく配置された短篇集。M.M、吉屋信子を経て、不滅の少女矢川澄子へと捧げられ、幕を閉じる。甘い劇薬のような幻想の花束は、自らの中にいた少女の忘れ形見となるだろう
90年代から2013年までに発表された耽美なる奇想・幻想が、星座を成すように美しく配置された短篇・掌…




 
  

自伝的側面を持つ小説ということを解説で知り、焦がれるような焦燥感のリアルさや、痛みの鋭さはそこからくるのかと腑に落ちた。忘れがたい痛みが閉じ込められたこの本は、どこまでも眩しく愛おしい。
小川洋子版「はつ恋」の余韻があまりに素敵で全文を読みたくなり、まずは沼野さん訳を。 小川版が詩…




 
  

初恋は遠い場所で切なくゆらめくからこそ美しく、永遠性は始まりにこそあり、刹那の歓びほど甘美なものはない。僕の想いは鉱石のように眩しく、読み手の心の中でいつまでも輝くのではないだろうか。
「僕は彼女のすべてを見つめた」 両親と一緒に別荘で過ごした16の夏。美しい父と、父に振り回され…




 
  

亡くなった父の耳小骨たちが奏でる、記憶に纏わる連作短編。秘めたる思い出に静かに耳を澄ます、美しくも恐ろしい四重奏の物語。
亡くなった父の耳に棲んでいた四つの真白な骨。形見となった耳の骨たちが奏でる5つの音に込められた、父に…




 
  

平易を飛び越え、笑いっぱなしで巡る神武天皇までの神代の世界。古典と五月女さんのイラストの相性の良さにも惚れ惚れ!
格調が高くとも自由すぎる神々たちに突っ込みどころ満載の古事記とはいえ、流石五月女ケイ子さん。平易を飛…




 
  

古事記を知ることで腑に落ちる日本という国の根幹に繋がる部分への気付きもあり、文化と人の想いの移ろいなど、古典を読むことの面白さと重要性を改めて教えてもらえる激推し良書。
訓み下し文でも読み進めるのになかなか骨の折れる古事記。原文など注釈がたっぷりと付いていても目はどんど…




 
  

闇が本当の闇として存在した江戸時代を舞台に読み手の肺を粘度の高い苔生す湿度で満たし、行き場なき想いが凝る現世と幽世の境目で弔いの鈴を鳴らす。京極さんが放つ式神のように怪異を裁く又市サーガ始まりの物語。
目の前で起きる事象は狐狸妖怪による幻惑なのか、怨念となった亡者の叫びか、或いは___。 「小豆…




 
  

本の周辺まるごと愛おしく、本棚にはまた新たなる本が出現する。「読むな、危険」の魅惑の書。
先ずも以って表題がすばらしい。漱石全集を買った日に何かあったのか、それとも買ったから何か起きたのか、…
 
  



 
  

犯人もトリックも謎がひとつも解かれないまま眠り続けた、江戸川乱歩の「悪霊」。悪霊をふたたび目覚めさせ、乱歩自身をも蘇らせるように巻き込み、鬱々と美しい驚きの物語へと昇華した会心のミステリ!
昭和8年、かつて横溝正史も編集長を務めた雑誌「新青年」で、暫く休養していた江戸川乱歩の本格的探偵小説…




 
  

発表当初、甲賀三郎などに敢えてはっきりとさせなかった結末を批判されたため、1935年刊行の柳香書院「柘榴」で再録した際に結末を書き改められた「陰獣」。現在刊行されている結末とは違うもう一つの陰獣世界
横溝正史が編集長だった頃の雑誌「新青年」で復帰作として発表された「陰獣」。発表当初、甲賀三郎などに敢…




 
  

悪夢的で忘れがたい白昼夢のような事件を回顧し語っていく耽美で倒錯的な愛憎のミステリ。シニカルな笑いとゾッとするような破局を堪能できる。目を逸らしたくもそれを許さずいつまでも忘れがたい。
お人よしで善人な探偵小説家・寒川が、悪夢的で忘れがたい白昼夢のような事件の全容を回顧し語っていく、耽…




 
  

原作とは違うラストが用意されているのもコミカライズされる醍醐味に溢れ、その結末がなんともぞっとするコマとなっていて余韻深く、人間の愛憎の根底を歪な美しさすら感じさせる筆致で描く傑作。
「一寸法師」で自己嫌悪に陥り一年強の断筆をし放浪の旅に出ていた乱歩が、復帰作として横溝正史が編集長を…



 
  

ネグレクトに近い状態で育った花が15歳の夏から数年一緒に暮らした彼女は20年後、監禁・傷害の罪で逮捕されていた。過去を回想しながら語られる青春と犯罪。お金が孕む狂気の正体を見た気がした。
花が20年程前、女4人で住んでいた黄色い家。20歳の頃散り散りになって以来思い出すこともなかったかつ…



 
  

あの世のものになれずこの世に還ることも叶わない死者の想い。哀しくも愛で昇華された想いの残像が美しい本格怪談。
盂蘭盆会の日が暮れる頃、紅提灯で足許を照らした子どもたちの列が前の子の帯を握り、歌いながら町を巡る。…




 
  

重層的な幽世の世界を疑似体験するかのような快作!
悪魔に騙され命の契約をしてしまった仲間を救いたい一心から、「悪魔との契約は絶対だ」を覆すべく準備を進…
 
  



 
  

関東大震災の混乱の中に起きた人災による地獄。人の弱さと残虐性を知り、過ちを繰り返さない未来を願う、血の涙のような祈りの書。
1923年(大正12)9月1日、南関東一帯を大きく揺さぶった関東大震災。本書では大きく取り上げられる…




 
  

月に叢雲花に風、不運は続くよどこまでも。殺し屋・七尾の不運はトリプルセブンを成就させることができるのか。七尾メロスに思わず逃げろ!と言いたくなるが、やっぱり走れ、七尾!
殺し屋界の不運部門代表と云っても過言ではない天道虫こと「七尾」が、シンプルなはずの依頼をどうしてこう…




 
  

百閒先生の事件帖とくれば勿論怪異譚。時は関東大震災から8年後。この要素だけで最高だ!と快哉を叫びたい程の高揚感。
大学で百鬼園こと内田榮造(百閒)先生にドイツ語を学んでいる甘木くんと先生の日々を描く百鬼園事件帖。 …




 
  

諧謔味溢れる百閒紀行の、不愛想の奥に垣間見る哀愁と愛情が憎らしい程に魅力的。
「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う。」初めて読んだのはいつの日だったか…