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※ネタバレ注意!

よく泣く子供と、涙の売買をしている不思議なおじさんの二人旅。綺麗な青い鳥というペットを伴っている。優しい世界観です。その涙を目に入れると、それが身体に影響を・・・。不思議な世界でした。童話です。

涙の箱
2024年に、アジア人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した。韓国の作家さんです。初読みです。

この年は、村上さんが絶対にとると思っていただけにびっくりしました。
韓国人作家の作品は好んで読みますが、村上ファンなので少し抵抗があります。

本書は大人のための童話です。
世界観は涙を売買することができる世界。
涙には色んな感情が混入していて、それを摂取すると、その人の身体にも影響が・・・。

何にでも反応し泣くという体質の子供のところに、黒い服のおじさんと、青い鳥がやってくる。そのおじさんは、涙の行商人だった。つまり涙を買い取り売る人なのだ。

二人は旅に出て、その旅で泣かない年寄りの男性に出会うという物語。



本書の魅力は、色や心情の描写がとても美しいことです。とくに、青い鳥のペットが良い。読んでいる途中で心のこりが優しくほぐれていきました。

これは大人向けに書かれた童話なのだと思います。
童話なのだから、ツッコミどころ満載であり、涙を口にしたからといって、何かがその人の身体で発生するなどという、そんな理不尽な魔法のようなものはないのはわかっています。しかし、それがあるという世界を描くことで、涙を流せない年寄りが泣けるようになったという奇跡を演出することで、心にさざ波が立ちます。

感情は伝わると言います。
不機嫌は隠すことはできない。
近くに寄るとその負の感情が伝播し、自分までも不機嫌となる。
なら、涙を口にし、泣けない男が感情を取り戻しうれし泣きをしてもいいじゃないかと思うのです。
もちろん、涙の成分にそんな薬効はないのですが、そこは物語なのです。

感情を吐き出すことは大切である。
泣くことは大切なのだ。

本書を読んでいて、そう感じました。



2025 9 1



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  • 掲載日:2025/09/01
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