フジタからはじまる猫の絵画史 ――藤田嗣治と洋画家たちの猫 (単行本)





先日、府中市立美術館で開かれていた「フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫」を観てきました。本書はその公式図録です。
現在の私は福島県の片田舎に住んでいて、別に日常生活に不便を感じることはないのですが、映画館や美術館に…

本が好き! 1級
書評数:2305 件
得票数:44102 票
「本職」は、本というより映画です。
本を読んでいても、映画好きの視点から、内容を見ていることが多いようです。





先日、府中市立美術館で開かれていた「フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫」を観てきました。本書はその公式図録です。
現在の私は福島県の片田舎に住んでいて、別に日常生活に不便を感じることはないのですが、映画館や美術館に…



『昼顔』『影の軍隊』の作者ジョセフ・ケッセルが描く、妻を殺した男と、夫を殺した女の恋物語
1954年に出版された本書の作者ジョセフ・ケッセル(1898-1979)は、父親は現リトアニア(当時…




「痰一斗 糸瓜(へちま)の水も 間にあはず」 正岡子規が死の12時間前に詠んだ三つある時世の句の一つです。
正岡子規(1867-1902)というと、「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」の作者というぐらいしか知り…





「ヒロシマの物語に登場する人々は過去の亡霊ではありません。かつてこの世界で私たちと同じように笑ったり泣いたりしていた人々であり、未来の私たちでもありうるのです」(作者による本書あとがきより)
ぱせりさんの書評で本書のこと知りました。感謝いたします。 今年5月に出版された本書はフィクショ…





本書に収録されているメグレ警視シリーズ第二作『故ギャレ氏』は、その後のシリーズ全体の原点であり、主要なモチーフの多くが既に詰まっている作品です。
本書には、メグレ警視シリーズの2作が収録されています。第二作『故ギャレ氏』(1930年)と第十七作『…




「野原に、村に、 軍鼓は響き、 年月は過ぎて、 帰りの道は、帰りの道は、 誰も知らない」「進軍は続く、 年月は過ぎて、 お前を残してきた地には、 お前を残してきた地には、 十字架がひとつ」(本書収録『戦さの歌』より)
日本で最初に出版されたブッツァーティ(1906-1972)の短篇集は、日本独自編纂で脇功が訳した『七…



本書は、アフリカ南部のボツワナを中心に南アフリカやナミビアに住んでいるツワナ族に伝わる昔話を、南アフリカ出身の白人作家ビヴァリー・ナイドゥーが再録したものです。
1943年南アフリカ生まれの女性作家ビヴァリー・ナイドゥーは、自ら係わった反アパルトヘイト運動がりゆ…




どう解釈するのか、あるいは何も解釈しないのか、不思議なお話ですが、ラストの「扉をしめる」という行為から、カフカの『掟の前で』を連想しました。
ぱせりさんの書評で本書のことを知りました。感謝いたします。 スウェーデンの児童文学者アストリッ…




オーソン・ウェルズ最晩年の、インタビューというより雑談会の記録です。正直なところ、かなりの映画ファン向きの本です。
オーソン・ウェルズ(1915-1985)は、言うまでもなく、映画の歴史における巨人の一人です。元々は…





「1941年6月14日、恐怖が頂点に達した。一夜にして、ラトビア人の1万5424人が(シベリアに)強制追放となった。追放者のなかには、幼児290人、60歳以上の人が55人含まれていた」(本書より)
題名は比喩ではありません。作者の母親に実際に起ったことです。彼女は14歳の時に夜中に叩き起こされてシ…




「変なところがない子なんて教室に一人もいませんでした。みんな変な子だったのです。つまり、それがふつうだったのです」(本書より) 「変」であることは、ちっとも「変」でないことを教えてくれる絵本です。
松田青子は、比較的最近知った日本の作家の中では、お気に入りの一人です。自分の書いた文章を引用するのも…





「あの日から、風がかわった。 空気がかわった。光がかわった。 思ってもみなかった日常が出現した」(本書より) 2011年3月11日の東北大震災の後から作者の家で起こった出来事を描いた絵本です。
少し前になりますが、morimoriさんの書評で本書のことを知りました。感謝いたします。 19…





ボワロー&ナルスジャックの作品はそんなに読んでいるわけではないのですが、今まですごく良かったという印象を受けたものはありませんでした。ですが、本作は面白い!
そうきゅうどうさんの書評で、本書を読んでみようと思いました。感謝いたします。 二人の作家の共作…



「ベルリンの警察官を殺人罪で起訴するなど…ミュンヘンのビール祭で、酔っ払いを逮捕するようなものだ」 第二次世界大戦直前のベルリンを舞台とする私立探偵ベルンハルト・グンター・シリーズ第二作です。
スコットランド出身の作家フィリップ・カー(1956-2018)による、ナチス統治下のベルリンで起きる…



シラーがこの処女作の戯曲を書き始めたのは18歳の時で、早くに完成していたようですが、発表したのは22歳になってからでした。Wikipediaによると匿名だったそうです。
先に投稿されているゆうちゃんさんもそうだったと思いますが、光文社古典新訳文庫版『カラマーゾフの兄弟』…



「ある日の午後、リビングでコーヒーを飲み終えると、グレタは自分のほどき方を発見した。服や皮膚や髪が、まるで果物の皮をむくようにするすると剥がれ落ち、中から本当の身体がでてきた」(『ほどく』より)
efさんの書評で、本書のことを知りました。感謝いたします。 本書は、カナダ出身でスコットランド…




ファンタジーと言われればそうですが、銭湯の水風呂に住んでいる天女のばあちゃんという、誰もが―筒井康隆ですら―思いつかないような設定の絵本です。
『ぼくは犬や』(2019年)以来、すっかりファンになった韓国のアニメーション及び絵本作家ペク・ヒナが…





「(カベッサは)驚くべきことに自立した犬であった。彼は野良犬ではなかったけれど、飼い犬でもない。誰にも頼らず、一人で、いや一匹で生きているのであった」(本書収録『カベッサ伝説より』)
本書のことを知ったのは、Wings to Flyさんと、ぽんきちさんの書評によってでした。それが20…



原題は"Magicats!"、「猫を抜きにしては成り立たない物語、味わえない感動」を持つ作品ばかりを集めたアンソロジーです。ですが、可愛らしい猫ばかりではありませんので、猫好きの方はご注意ください。
17人の作家による、猫が重要な役割を果たす17編が収められた1984年刊のアンソロジーです。編者は、…





「『影の軍隊』はレジスタンス運動に基づいた本だよ。人類史上でも悲劇的なあの時代に関する記録のなかで、最も上質で完成された作品なんだ」 本書を映画化したジャン=ピエール・メルヴィル監督の言葉です。
『昼顔』(1929年)の作者ジョゼフ・ケッセル(1898-1979)は、第二次大戦中は反ナチスのレジ…