本が好き!ロゴ

閉じる

俺は連続殺人犯。アルツハイマーで記憶を失いつつある。たった1つ覚えておかなくてはならないのは、1人娘の命を守ること。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!免許皆伝
  • 殺人者の記憶法 (新しい韓国の文学)
  • by
  • 出版社:クオン
殺人者の記憶法 (新しい韓国の文学)
韓国の作家、キム・ヨンハの異色クライム・サスペンス。映画化もされている。

主人公の「俺」はかつての連続殺人犯。実の父親を始め、多くの人を手にかけてきたが、あるきっかけでしばらく殺人は犯していない。
1人娘のウニは実は養女で、年は祖父と孫ほども離れている。
「俺」はアルツハイマー病と診断されている。
ある日、街に連続殺人事件が起こる。もしやその犯人は「俺」なのか?
消えゆく記憶。ウニに迫る魔の手。「俺」はウニを守りきれるのか。

物語の語り手はもちろん、殺人鬼の「俺」である。
あやふやな記憶をたどる「信用ならない」語り手なのだが、彼のモノローグは淡々としつつ詩的ですらある。
そもそも殺人を犯すきっかけとなった実父との関係。殺した人たちの思い出。綴ってきた詩のこと。こぼれ落ちてゆく記憶。
何人もの人を殺してきた極悪人のはずの「俺」の語りは、どこか、生きることの哀しさをまとう。
「俺」は殺人鬼を突き止める。大切な娘を守ろうと、手がかりを録音し、ノートに書き残す。だが娘はそれを信じない。
もがくような「俺」の努力は徒労に終わる。

終盤に、「俺」は怖ろしい事実を知る。それまでの自分の存在が崩れ落ちていく。
その心許なさは、翻って読者にも突きつけられる。
お前の信じているものはどれほど正しいのか。
パズルのピースが1つ1つ抜け落ちていくように、世界が壊れていく。最後に白い虚無が残る。
不思議な読み口である。
  • 本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
  • 掲載日:2018/09/06
投票する
投票するには、ログインしてください。

この書評の得票合計:40

読んで楽しい:3票
参考になる:35票
共感した:2票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. かもめ通信2022-08-09 05:24

    ぽんきちさーん!ぜひぜひ“祝! CUON #クオン15周年 読書会”
    ご参加下さい。
    https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no426/index.html?latest=20

  2. ぽんきち2022-08-09 08:39

    お誘いありがとうございます~♪

    のちほど伺います☆

No Image

コメントするには、ログインしてください。

殺人者の記憶法 (新しい韓国の文学) の書評一覧

取得中。。。