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最初のページを開くと、真ん中にぽつんと、誰も座っていない小さな椅子が現れる。

せんそうがやってきた日
最初のページを開くと
真ん中にぽつんと
誰も座っていない小さな椅子が現れる。

そこには
この本を、
すべてを失い、ひとり取り残された子どもたちと、
そんな子どもたちを支援する人びとに捧げます
と書かれている。

せんそうと椅子がどのような関係にあるのか
それは本を読んでいくうちにあきらかになっていくはずだ。


ある日のこと。
午前の授業が終わってランチタイムのすぐあとに
せんそうがやってきた。
生き残った少女はたったひとり、
やっとの思いで難民キャンプにたどりつくが…。

2016年の春、イギリス政府は3000人の孤児の難民の避難所収容を拒否。
同じ頃「座る椅子がない」という理由で
難民の女の子が入学を断られた。
そのことを聞いたニコラ・デイビスさんはこの詩を綴ったのだという。

当初、ガーディアン紙のウェブサイトに掲載された詩は
大きな反響を呼んで
多くの人たちが #3000chairs というハッシュタグをつけて
誰も座っていない椅子の画像をTwitterに投稿した。

そうした世論の高まりの中で
この絵本がうまれ、
イギリスでは版元のウォーカーが
この本が1冊売れる毎に
難民支援団体Help Refugeesに1ポンド寄付することになっているのだとか。

一篇の詩にこめられた思いと
一篇の詩がもつ力に心打たれれる。
だがもちろん、
世界を変えるにはまだまだパワーが足りない。
ぜひ多くの人に手にとって貰いたい1冊だ。

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  • 掲載日:2020/09/16
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この書評へのコメント

  1. hacker2020-09-21 04:08

    私も読みました。素晴らしい絵本の紹介ありがとうございます。

    最近、自分で選ぶ本は古めのものばかりなので、かもめ通信さんの近刊の紹介は、とても参考になります。

  2. かもめ通信2020-09-21 06:07

    hackerさん、うれしいコメントをありがとうございます。

    この本のことは、やまねこ翻訳クラブの長友恵子さんが翻訳をてがけられておられるので、そちらの方面からのツイートで知りました。

    hackerさんのレビュー読ませていただきました。

    『セヘルが見なかった夜明け』もぜひ読んでみたいと思います。

  3. hacker2020-09-21 14:08

    『セヘル』は、かもめ通信さんはきっと気に入るのではないか、と思います。書評を楽しみにしています。

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