カフカ断片集:海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ
小説のかけらや、つぶやき、詩のようなもの、が集められている。カフカ自身が描いたイラストのページも。
短篇集ではなく「断片集」。 小説のかけらや、つぶやき、詩のようなものを集めたものだ。 解説によれ…
本が好き! 1級
書評数:558 件
得票数:14007 票
読書は、登山のようなものだと思っています。読み終わるまでが上り、考えて感想や書評を書き終えるまでが下り。頂上からどんな景色が見られるか、ワクワクしながら読書という登山を楽しんでいます。
小説のかけらや、つぶやき、詩のようなもの、が集められている。カフカ自身が描いたイラストのページも。
短篇集ではなく「断片集」。 小説のかけらや、つぶやき、詩のようなものを集めたものだ。 解説によれ…
すっきりとわかる話はひとつもなくて、どれも「は?」「え?」と、首をひねる話ばかり。百人が読めば百通りの読み方があり、同じ人でも三回読めば三回とも違う世界が見えるだろう。
276ページの文庫本に、20の短編が収められている。 最も短い 「夜に」 は、1ページに満たな…
「夏の花」三部作のひとつ。原爆投下直後の広島。即死を免れた人々が、生きるために苦悶し苦闘する姿が描かれます。
あの朝、”私”は便所に入っていたことが幸いしたのか、ほぼ無傷で生き延びます。 八幡村に次兄が疎開の…
「夏の花」三部作のひとつ。「夏の花」は、原爆投下その日の広島を描いたものですが、「壊滅の序曲」は、”その日”に至る数十日間の市井の人々の日常を描きます。
空襲にやられて、東京から故郷の広島に戻ってきた正三。 最愛の妻は、前年に病気で亡くなり、仕事もなく…
語られるのは「平家物語」四の巻から七の巻まで。以仁王の乱、源氏の旗揚げ、清盛の死、そして平家公達の都落ち…… 琵琶を奏で、語りの文体で。
古川日出男訳「平家物語2」で語られるのは、平家物語「四の巻」から「七の巻」まで。 「四の巻」で…
現代語訳「平家物語」を四分冊にした一冊目。盲目の琵琶法師に語り継がれてきた「平家物語」。この「平家——」も現代の語り口調で訳されている。物語の陰の主役は後白河法皇。
保元平治の乱を経て、平清盛に権力が集中していく。 「おごれるもの」となった清盛は、対抗する勢力を次…
「過ちは繰り返すな。敗者から学べ!」という主旨で書かれた歴史の本。
人は、勝者よりも敗れ去った者に惹かれる。 源頼朝よりも義経の方が人気があるし、三英傑では信長が…
”19歳の連続射殺魔”永山則夫。彼が、精神鑑定の石川医師に語った百時間の独白テープ。それを基に書かれた石川鑑定書。死刑囚の心の内奥に迫るノンフィクション。
区役所で用を済ませ帰ろうとしたところで、にわか雨が降り出した。あいにく傘は持っていない。隣接する図書…
上官の命令には絶対服従の軍隊で、悪意ある無茶な命令に殺されていった兵士たちがいたことを、作者は怒りを押し殺し、飾らない文章で淡々と書いている。
作者の黒島伝治は、1898年12月12日、小豆島に生まれた。貧しい農民の子として。 1919年、兵…
十返舎一九、曲亭馬琴、式亭三馬。三人の戯作者が、まだ何者でもなく、蔦谷重三郎邸の居候にすぎなかったころの話。近松与七(のちの十返舎一九)を語り手に置いたドタバタ悲劇。
1972年上半期 直木賞受賞作。 江戸いちばんの材木問屋伊勢屋の跡取り息子・栄次郎は、人を…
戦争で家を焼かれ親を亡くした子どもたちの心は、どれほど痛めつけられていたことか。冷酷で残忍で卑怯な昌吉の心も。
児童養護施設で育った作者の自伝的小説。 ナザレト・ホームという名の児童養護施設を出て二十数年が…
kindle版の上下合本で読んだ。父を殺し母を犯す――「海辺のカフカ」は、読んでみればそういう小説だった。
男の子は、父親を殺しその屍を乗り超えて自立する――もちろん、父親殺しは何かの暗喩なのだろうけれど、よ…
1991年に出された本を、書店員さんが発掘したのだそうです。新聞広告につられて買いました。ぬいぐるみのくますけを、パパよりもママよりも愛する女の子の話。ホラーファンタジー?
主人子は、十歳の女の子。 成美は小さいころから、ぬいぐるみのくますけといつも一緒でした。 パ…
皇后の代わりに帝の子を身ごもれ――それが、悪左府・頼長から下された使命だった。
「悪左府」とは、藤原頼長のこと。 藤原摂関家の道長から数えて、五代目の忠実の次男だ。 有能な左大…
その”島”では、ある日とつぜん、何かが消失する。
1994年、作者が32歳のときに発表された小説。 舞台となっているのは、”島”。 特急列車が…
作者は、ある人から「安積源大夫聞書」と題する古い写本を手に入れた。本物の古文書なのか後世の誰かの手による偽書なのかは、わからないが……
昭和十年初出の小説。 真偽不明の聞書写本の中身が、小説の本筋である。 寛永十八年というか…
豊臣家が崩壊する音が聞こえる。
豊臣秀吉は、貧しい農民の子だったから、氏も家も持たずに生まれてきた。 信長に仕え、武士として出世の…
正義もなく、英雄もいない。敗れて滅びてゆくものたちの、涙はらはらの物語。
一冊で「平家物語」が読める。しかも、吉村昭の訳で。 平易な文章で書かれている。 祇園精舎の…
読めども読めども、そこにあるのは荒涼とした荒野。
昭和32年に発表された小説(作者33歳)。 主人公は久木久三、19歳の若者。 久三は、満…
戦後二十年。主人公の浜田は45歳、某私立大学職員。彼には徴兵忌避の過去があった。
1967年の作品。 浜田は、東京の町医者の息子として生まれた。 二十歳のときに召集令状が来た…