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住む場所や食べる物の心配をしなくてすみ、 安心して毎日温かいところで暮らせる生活。 決して当たり前ではないこの暮らしは 幸せなことなんだなと改めて思い知らされた。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!2級
少女が見た1945年のベルリン ――ナチス政権崩壊から敗戦、そして復興へ
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なにも見ようとしない者には、
なにも見えない。
なんのにおいも感じようとしない者には、
なにも感じられない。
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本著は、クラウス・コルドンの
ベルリン三部作の1つベルリン1945
をグラフィックノベルにしたもの。
ベルリン1919で主人公だった
ヘレの娘、エネが主役。

テーマはナチス政権崩壊から敗戦、
そして復興へ。

グラフィックノベルって海外文学など
所謂少し取っ付き難い原作本を
グラフィックにおこしてくれているから
挑戦しようと思っているが、
足踏みをしていた作品にも挑戦しやすい
という点が最大のメリットだと思っている。

日本の慣れ親しんだ"漫画"というより
"アメコミ"の画風を想像してもらえば
わかりやすいと思う。

フィクションなんだけど画風もあってか、
その不穏な空気だとか、
日々の不安定さの描写がとてもリアル。
当時ナチス政権下においては、
本当にこういう生活をしていたんだろうな
と感じさせられる。

中でも
"昔は百貨店の立ち並ぶ光景だったのに
いまは瓦礫の山"
というセリフのあった場面が、
テレビで流れてくるウクライナの街並みにリンクして
なんとも言えない気持ちになった。


久しぶりにテーマが重いの本を読んだなぁ。


住む場所や食べる物の心配をしなくてすみ、
安心して毎日温かいところで暮らせる生活。
決して当たり前ではないこの暮らしは
幸せなことなんだなと改めて思い知らされた。

実はこれ児童書なんです。
大人になって読む児童書は色々と
気づきがあると思うので読むの好きだけど、
これは読むには覚悟がいる作品だと思う。
だけどその価値はある。

余談ですが、直木賞候補にもなった
ベルリンは晴れているか は、
特にベルリン1945を参考にしたとのこと。

登場人物のアウグステと少年だったヘレは、
ご近所さんらしい。
ベルリンは晴れているのか も
読んでみたいと思った。
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  • 掲載日:2022/05/06
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