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これから先、何度も読み返すことになりそうな1冊。またまたどどっと読みたい本のリストを伸ばしてしまったが、後悔はしていない。

(これはもう絶対面白いに違いない!)とピピッときて、迷わず買ってしまった本。
一気に読むのがもったいなくて、行きつ戻りつ少しずつ読み進めていたのだけれど、とうとう読み終えてしまった。

「李箱文学賞」は、朝鮮を代表するモダニスト作家で詩人の李箱(イ・サン)の文学的功績を称え、文学思想社が1977年に設立した韓国で最も権威ある文学賞なのだそう。

どうやら日本でいうところの「芥川賞」のようなものらしく、前年の1月から12月までに文芸誌などで発表された中編もしくは短編の純文学作品が審査の対象となっているとのこと。

その大賞を受賞した作家は、受賞所感とともに「文学的自叙伝」を発表する習わしがあって、本書はその歴代の受賞者23名による「文学的自叙伝」を収録したエッセイ集なのだ。

トップバッターは2019年に第43回大賞を受賞したユン・イヒョン。
『小さな心の同好会』の著者だ。
まず受賞年と名前と顔写真があり、その後十数ページのエッセイが、最後に作家と翻訳家の作品名を含めた略歴が載っている。

以降、受賞年が新しい順に並んでいる。
ちなみに底本とされた原書には22名分が収録されているそうだが、日本語版刊行に当たって、日本でも人気の高いハン・ガン(2005年第29回大賞受賞)のエッセイが加えられている。

とりわけお気に入りの作家のものから読むという手もあったが、トップバッターが既に見知った作家だったこと、それがまたとても読み応えのあるエッセイだったこともあって、順番によんでいくことにした。

ひとくちに「文学的自叙伝」といっても、内容やスタイルは書き手によって様々で、幼年期の思い出など生い立ちからはいって自伝風にまとめる作家もいれば、何故書くのかに絞って書く作家も、書けないときの苦しみについてとうとうと述べる作家もいれば、エッセイというよりこれはもう短編小説なのでは!?というものもある。

それでも、どのエッセイも読み終えてみると、その作家がどんな本を読んできたのか、どのようにして小説を書き始めたのか、どんなふうに作品を書いてきたのか、どんな作風なのかまで、すっかり打ち明けてもらった気になってしまう。

『モンスーン』の作者ピョン・ヘヨンの「他人の生」は、いかにもあの作品の作者らしい気がして読んでいてなんだかうれしくなり、『カステラ』のパク・ミンギュの近影に思わず「まただ!」と吹き出す。

この本のタイトルにもなっている「僕は李箱から文学を学んだ」という一節を含んだキム・ヨンスのエッセイを読んで、やはりもうキム・ヨンス作品は片っ端から読んでみるしかない!と、決意を新たにする。

書けなくなったとき“自分自身をこの世で二人とない気の毒な存在だと思う自己憐憫の「ダークフォース」に期待して”太宰治を読み返してみたりしたというキム・ギョンウクの作品もぜひ読んでみたい!

という具合に、またまたどどっと読みたい本のリストを伸ばしてしまったが、後悔はしていない。

この本を一つの足がかりに、韓国文学探訪を続けていこう。

<関連レビュー>
●ユン・イヒョン『小さな心の同好会』
●ピョン・ヘヨン『モンスーン』
●パク・ミンギュ『カステラ』
●キム・ヨンス『四月のミ、七月のソ』
●キム・ヨンス『ぼくは幽霊作家です』
●クォン・ヨソン『春の宵』
●ハン・ガン『ギリシャ語の時間』
●ハン・ガン『回復する人間』
●ハン・ガン『すべての、白いものたちの』

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  • 掲載日:2022/01/07
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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2022-01-07 06:10

    遅ればせながら、新年初投稿。
    今年もどうぞよろしくお願いします。

  2. ef2022-01-07 08:27

    おかえりなさい。
    今年もよろしくです。

  3. かもめ通信2022-01-07 13:35

    帰っては来たのですが,なかなか落ち着かず…
    しばらくはスローペースの更新になりそうです。

    (といっても元がヘビーユーザーですからねえ…(^^ゞ)

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