私は小説をよく読むが、読んでいるのはもっぱらミステリ、ホラー(、時々SF)で、普通小説はほとんど読まないので、文芸雑誌もまず手を伸ばすことはない。が、「小説現代」2025年8、9月合併号は、特集が「最恐・真夏のホラー大凶宴!」だったのに興味を引かれて手に取ってみた。
この号の特集の目玉は、設定された6つのテーマに作家が2人ずつ割り振られ、その2人による書き下ろし短篇の競作という趣向である。この計12篇はそれぞれに面白く、雑誌だけで終わったら勿体ないなと思っていたら、何と2篇ずつ『最恐ホラー』シリーズ全6冊という形で単行本化するようだ(本来なら12篇まとめて1冊のアンソロジーとして出すべきところだろう…(≡ε≡;))。
私はこの単行本は読んでいないが、中身は「小説現代」に掲載されたものと同一のようなので、レビューさせてもらうことにした。第1巻「呪われた図書館」(雑誌掲載時のテーマは「図書館」)には、背筋の「笑う女が立っている」と平田夢明の「そして家族全員、焼きそばス」の2篇が収録されている(なお一言断っておくと、「そして家族全員、焼きそばス」というタイトルは打ち間違いとかではなく、実際にこうなっているので誤解なく)。
雑誌掲載時は3段組で扉ページを含め11ページ、単行本では(講談社のサイトによれば)1段組で64ページという薄さなので、ここではストーリーについては触れない。「小説現代」に掲載された12篇はいずれも、今流行のモキュメンタリー(≒フェイク・ドキュメンタリー)形式のホラーになっているが、その上、この2篇は物語の内容自体も非常に似通っている。「小説現代」にはこれらの短篇と合わせて、背筋と平田によるスペシャル対談も載っているので、ついでに2人でネタのすり合わせでもやったのか?と思うほど(もちろん、そんなことはないだろうが)。
モキュメンタリーではフェイク(虚構)をどのようにリアル(現実)へと浸食させていくのかが鍵だが、この2篇でその1つの代表的なパターンを体験することができる。
この書評へのコメント