シリーズ4巻目になりました。
単行本ではなくいきなり文庫書き下ろしで出たので、ちょっとびっくり。
スカイツリー近くの葬儀場「坂東会館」にバイトを経て入社4年目となった清水美空。
時代は新型コロナ影響下真っただ中であり、美空は葬祭ディレクターを名乗るための試験を早く受けたくとも中止となったり延期となったりで受験すらできない状態。
また、警察からご遺体引き取りの連絡も直送が増え、ご遺族が最期の見送りもままならないこれまでと違った日常が続いている。
坂東会館からほど近い場所での働き盛りの男性のバイク事故死、また妻がなかなかご遺体に向き合おうとしない若い男性の事故死が描かれるんですが、どちらも妻に「なぜ」という感情が残り、亡くなった事と同じように戸惑う。
特に喧嘩別れで別居寸前だった若い妻には自分が喪主になるなど申し訳ないという感情が残るが、そんな気持ち全てを包んで一緒に最期のお別れに立ち会う坂東会館の姿勢には優しさだけでなく強さを感じる。
3つ目の東郷さんご夫妻の教会での結婚式には色々考えさせられた。
息子と孫を一遍に失うという悲しい過去をご夫婦二人で寄り添い乗り越え、また教会に通う事で人に話をすることも心の支えになったと。今回は奥さまを見送るわけで、東郷さんはとても寂しく感じながら、でもきっと天国で3人出会っているだろうとか、好物を買っておこうとかゆっくりゆっくりお別れの時間を受け入れていく。
私も以前、教会でのお式であまりに温かい雰囲気で和やかなおわかれに感じたので別れ際喪主様に「素敵なお式でしたね」と言ってしまったことがあり、本当にそう思ったので出てしまった言葉だったけれど、後であれは適切だったんだろうかとふと気になった事があった。
でも、東郷さんのお式の話を読んであれはよかったのかもしれないと感じた。
4つ目、火葬だけ先に済ませ、お別れの会だけ開くというお見送りも遺族にとって最高の「区切り」になったと感じた。
ここでは生前葬も扱われたが、見送られる人も、見送る人もこんな楽しい集まりになるならいいものだなぁ。
私の父の見送りもコロナ真っただ中だったことで何かと制限が多く、会食も出来なかった。
当時はとにかくバタバタ忙しかったので、よく知らない親族や父の友人などには全く会う時間もなかったが、それでも予想以上に多くの人がお寺に足を運んでくれたと後で知った。
みんなそれぞれの「区切り」のため非常事態時にあえて外出してくれたんだなと思うとありがたいし、お父さん良かったねと思い返す。
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