アマンダの影



本作を読んで感じるのはオコンネルの人物描写の上手さである。デビュー第2作にして、新人作家にありがちなペラペラの書き割りではなく、登場人物がしっかりと陰影を持った人間として立ち上がってくる。
『アマンダの影』はキャロル・オコンネルによる〈キャッシー・マロリー〉シリーズの第2作。私が読んだのは…

本が好き! 1級
書評数:617 件
得票数:10841 票
「ブクレコ」からの漂流者。「ブクレコ」ではMasahiroTakazawaという名でレビューを書いていた。今後は新しい本を次々に読む、というより、過去に読んだ本の再読、精読にシフトしていきたいと思っている。
職業はキネシオロジー、クラニオ、鍼灸などを行う治療家で、そちらのHPは→https://sokyudo.sakura.ne.jp



本作を読んで感じるのはオコンネルの人物描写の上手さである。デビュー第2作にして、新人作家にありがちなペラペラの書き割りではなく、登場人物がしっかりと陰影を持った人間として立ち上がってくる。
『アマンダの影』はキャロル・オコンネルによる〈キャッシー・マロリー〉シリーズの第2作。私が読んだのは…





本書は「哲学なんか知らない」、「哲学なんか興味ない」という人にこそ読んでほしい。そういう人こそ、実は哲学に「呼ばれ」ている人かもしれないから。
本を読んでいると何年かに1冊くらい、読む前と読んだ後で世界の見え方が変わり、出合えてよかったと心から…




秘密は壁の中に埋まっている。(「壁の中」より)
作家、アンソロジストである井上雅彦が監修し、1997年から刊行が続くホラー・アンソロジー・シリーズ〈…



デイヴィッド・ピースによる〈ヨークシャー4部作〉の第2作。「《イブニング・ポスト》を裏返すと、そこにやつがいて、一歩先でわたしたち二人を待っていた。 〈ヨークシャー・リッパー〉」(p.164)
ヨークシャー・リッパーが跳梁した時代のイギリスの闇を描く、デイヴィッド・ピースの〈ヨークシャー4部作…




アメリカがなぜ、いつ、どのようにして現在のような傲慢なまでの軍事大国に変貌してしまったのか──航空機の進歩と空軍の変遷を切り口に20世紀アメリカ史について語りつつ、そのことについて考察した本。
アメリカ合衆国は建国以来、帝国であったことは一度もないのに、我々にはどこかアメリカが「帝国」として認…




「怪談えほん」シリーズの1冊だが、(一部の)子供もさることながら、この本を読んで本当に恐怖を感じるのは、間違いなく大人の方だ。
「怪談えほん」シリーズの1冊。「どんな いえ?」は、藤野可織(文)とさかたきよこ(絵)による、帰るべ…



文芸雑誌「小説現代」2025年8、9月合併号の特集「最恐・真夏のホラー大凶宴!」の単行本化シリーズ第1巻。テーマは「図書館」。
私は小説をよく読むが、読んでいるのはもっぱらミステリ、ホラー(、時々SF)で、普通小説はほとんど読ま…




山村正夫の短篇集『断頭台』に3篇を加えた増補版。「異常心理ミステリー」という触れ込みだが、そこにあるのは異常心理云々よりむしろ「人の持つ業(ごう)や運命の不思議さ」である。
山村正夫というと、私は映画化された『湯殿山麓呪い村』くらいしか知らなかったが、1949年に17歳でデ…





我々は「(ただの)群れ」である。
哲学書や思想書というのは理想論や空理空論を語るだけで、現代という時代を生きる上で全く役に立たない──…




もしもふたりの男が警察に現れ、まったく同じ話をして、第三者の協力者がいないとしたら、警察がどうやって本当のことを語っている人物を突きとめられるのか。(「訳者あとがき」より)
西オーストラリア州内陸の寂れた街、ウィルブルックの警官5人だけの警察署に、殴られた痕のある1人の男が…




これは非常に役立つ面白い本だが、タイトルが内容と全く合っていない。想像するに、見た人に刺さるキャッチーなタイトルにしようとして、結果スベってしまった?
精神世界(スピリチュアル)系、オカルト、ニューエイジ、成功哲学、代替医療・自然療法…といったものがど…



デイヴィッド・ピースによる〈ヨークシャー4部作〉の第1作。「この本は人生、わたしの人生だ──ノワール──真のノワールだ。」(「日本版序文」より)
デイヴィッド・ピースは「日本版序文」 (なぜ『1974 ジョーカー』を書かねばならなかったのか、なぜ…




今、私たちがみずからに問うことのできる最も差し迫った問いは、さんざん言い古された「どうすれば物語によって世界を変えられるか」ではない。「どうすれば物語から世界を救えるか」だ。(p.30)
世界ではこれまで人類滅亡のシナリオが繰り返し語られてきた。例えば全面核戦争によって。例えば地球環境破…



「人は、古より死を恐れてきた。だからこそ、古代の人類は、その恐怖を克服するために、その向こう側を定義した。現世と線を引いて、向こう側の世界を陰府だとか黄泉だとか名付けたんだ。」(上巻p.39-40)
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』は、TYPE-MOONによる〈Fate〉シリーズのスピンオフ作品で…





「たとえば、人を虐げたいという欲望を抱えた人間が、その欲望を表に出さないで生活しているとしたら、それはとても優しいことなんじゃないかな」(「ドッペルイェーガー」より)
2025年は全国で熊による被害が多発し、国はついに「人の日常生活圏にクマ・イノシシが出没した際、安全…



ロンドンに住むピーター少年は、事故から目覚めると1匹の猫になっていた。傷を負った野良猫のピーターは同じ野良猫のジェニーと出会い、猫として生きる術を教えられながら、一緒に猫の世界で冒険を繰り広げる。
ポール・ギャリコは映画化もされた『ポセイドン・アドベンチャー』などで知られるが、特に中期以降は猫を主…




「人間らしさを演じることは、人間であることよりも簡単です。ただひたすら共感し、思いやりのある態度を崩さなければいいんですから。いくらでも人間らしくなれる」(「システム・プロンプト」より)
作家、アンソロジストで〈異形コレクション〉の編者でもある井上雅彦。「まえがき」によると、その井上が2…




『竹取物語』の本質に迫った作品といえば、高畑勲の遺作となったジブリ作品『かぐや姫の物語』が有名だが、正直、高畑勲でも届かなかった地点に本書は到達している。それはまさに奇跡と言っていい。
怖さを前面に押し出した絵本では、岩崎書店の〈怪談えほん〉シリーズがあるが、この『月虫の姫ぎみ』は〈怪…



「事件を解決できない者は探偵ではないですよね」(「白きを見れば」より)
本格ミステリ作家クラブでは、その年に発表された本格ミステリ短篇の中から秀作を選んでアンソロジーを編む…



19世紀のロンドンを舞台にした幽霊譚13篇が収録された短篇集。興奮してなかなか眠れない夜に一篇を選んで一服の清涼剤代わりに読むと、頭が落ち着いてグッスリ眠れる──そんな本だと思う。
最近、創元推理文庫から古典的なミステリや怪異譚、幽霊譚などの未紹介の短篇作品を中心とした〈傑作集〉シ…