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※ネタバレ注意!

『普請中』森 鷗外著などかつての東京を舞台にした数々の名作

東京百年物語2 一九一〇~一九四〇
かもめ通信さんに紹介された『普請中』森 鷗外著を読む。みなさんのレビューも参考になった。図書館で検索したら、このアンソロジーが良さげなのでチョイスした。『東京百年物語 2』 ロバート・キャンベル編  十重田裕一編 宗像和重編。


『普請中』森 鷗外著
渡辺参事官は、ドイツ人の女性と待ち合わせていた。待ち合わせ場所の精養軒ホテルは普請中だった。彼女はドイツ赴任時代の恋人だった。歌手をしている彼女はピアノ弾きのポーランド人と、ウラジオストクへドサ回り。そのついでに会いに来たと。ピアノ弾きとできたのか。官僚らしく鷹揚に応じる。ほんとは、どうなのだろう。事を荒立てられると出世に響くかもとか。手切れ金の催促かとか。次の歌手活動をアメリカですると聞かされて賛同する。新しい恋人ができても嫉妬の「し」に字も見せない渡辺。ほんとは、どうなのだろう。長回しのシーンを見るような感じ。
ホテルも普請中なら、日本も、もしくは日本人も普請中。当初は、追いつけ欧米だったが、普請したのは、軍国主義国家だった。敗戦で更地となって普請だらけの東京、日本。で、いま、もう一度、普請中。それは不審で不信な普請。と、ぼくには思える。

『人面疽』谷崎 潤一郎著
こちらを。
『潤一郎ラビリンス〈11〉銀幕の彼方』 谷崎 潤一郎著 千葉 俊二編

『小僧の神様』志賀直哉著
中学生のときに読んで以来か。薄給の小僧さん、あこがれの鮪一貫も食べられない。そこへあしなが“寿司ごちそう”おじさんが現れる。代償を求めないから、これは流行りの利他なのか。「女中の神様」ってパロディになるかな。

『泥濘』梶井基次郎著
納得のいく小説が書けなくて落ち込む主人公の奎吉。しかし、ようやく家から為替が届く。外出して換金。床屋へ行き、友だちに会う。古書店をのぞいて雑誌を買う。ライオンでビールを飲む。分不相応な舶来の石鹸を買って後悔する。月夜、照らし出された自分の影が、影であることをやめ、勝手に歩いていくではないか。

『押絵と旅する男』江戸川乱歩著
汽車で出会った男が抱えていた風呂敷包みを開けると、額に入った押し絵が出て来る。その謂れと不可思議な光景。乱歩の短編ではいちばん好きな作品かも。

『鮨』岡本かの子著
山の手と下町の際にある鮨屋「福ずし」。こだわりの鮨は街の美食家たちを唸らせていた。甲斐甲斐しく店を手伝う娘のともよ。常連客の一人である湊は、50歳過ぎのインテリ風の男。生活感のない仙人のような湊になぜか興味を覚えるともよ。偶然、街で出会い、彼の半生を知る。湊にとっての鮨は、母親の思い出の味だった。話もよいが、鮨の描写がおいしそうでたまらない。

1と2も読むことにするか。
  • 掲載日:2026/04/15
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