ウィルキー・コリンズ「ザント夫人と幽霊Mrs. Zant and The Ghost 」
ケンジントン公園で遊んでいた娘ルーシーといたレイバーン氏は、娘から「おかしな女の人がいる」と言われる。気になってついていくと、彼女ザント夫人は義兄と一緒に暮らしていた。家政婦から義兄はザント夫人と結婚したがっていると聞いたレイバーン氏は彼女の事が気になって。半ばラブストーリー。娘ルーシーが素直で可愛い。
ダイナ・マリア・クレイク「C─ストリートの旅籠The Last Hous in C-Street」
三人称小説だが、すぐにドロシー・マッカーサー夫人の語りになる。かつてエドモンドという相愛の相手がいたドロシーは、体調の悪くなった母親を心配していた。これも幽霊譚というより悲恋もの。
エドワード・マーシー「ウェラム・スクエア十一番地No.11 Wellum Square 」
一族が恒久的居住権を持つウェラム・スクエア十一番地は、高祖父の父親アンドリュー・マーシーと、従兄ロナルドが住んでいた。ロナルドが正当な遺産相続人と思われ、美しい婚約者もいたが、全てアンドリューに奪われる。ロナルドの死後アンドリュー夫妻が屋敷を去り、マーシー家の者が住人となった場合のみ幽霊が出る噂が立つ。勤務地に近いためウェラム・スクエア十一番地に住むことにしたが、やはりオウムが死ぬなど怪奇現象が起きて。おとなしい人ほど恨みは強い。これは幽霊譚本丸。
フローレンス・マリヤット「シャーロット・クレイの幽霊The Ghost of Charlotte Clay」
作家シャーロットをその気にさせて、アッサリ振った出版社社長シギスマンドは、怒り狂った彼女の捨てぜりふを笑い飛ばすが。義理堅い有言実行型幽霊(笑)。 。
シャーロット・リデル「ハートフォード・オドンネルの凶兆Hertford O’dnnell’s Warning」
腕はいいが家族とも没交渉の医師ハートフォード。彼の一族には悲しい歴史が。熱い思いを秘めたる男。
トマス・ウィルキンソン・スペイト「ファージング館の出来事Experience of Farthing Lodge」
老嬢が残した家に住んだら怪現象勃発。ドイツ人父娘に助けを求めると。娘の過去もなかなか壮絶であった。
レティス・ガルブレイス「降霊会の部屋にてIn the Scance Room」
医師ヴァレンタインは邪魔になった愛人を上手く葬り去る。しかしとある降霊会で妻に秘密がばれてしまう。悪事は必ず露見す。
メアリ・エリザベス・ブラッドン「女優の最後の舞台Her Last Appearance」
売れない役者と結婚したら、自分の方が売れてしまい、若き崇拝者も現れる。しかし、彼女には病魔が。これも悲恋もの。
イーディス・ネズビット「黒檀の額縁The Ebony Frame」ローダ・ブロートン「事実を、事実のすべてを、なによりも事実をThe Truth, The Whole Truth, and Nothing but the Truth」メアリ・ルイーザ・モールズワース「揺らめく裳裾The Story of the Rippling Train揺らめく裳裾」ルイーザ・ボールドウィン「隣牀の患者My Next Door Neighbour」ウォルター・ベサント、ジェイムズ・ライス「Lady Kitty令嬢キティー」収録。
12篇が本邦初訳。舞台となる場所の地図付き。
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