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須賀敦子全集第4巻。単行本として出版されている「遠い朝の本たち」と「本に読まれて」の他に書物や映画にまつわるエッセイ33篇が収録されているあいかわらずお得で贅沢な1冊。

  • 須賀敦子全集〈第4巻〉
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  • 出版社:河出書房新社
須賀敦子全集〈第4巻〉
ゆっくりと読み進めている須賀敦子全集もようやく4冊目。
この巻には単行本として出版されている「遠い朝の本たち」と「本に読まれて」の他に書物や映画にまつわるエッセイ33篇が収録されている。

「遠い朝の本たち」には、子どもの頃から本好きだった著者が、折々に出会いその都度心の引出に丁寧にしまってきた本たちを、ひとつひとつ大事に振り返って語ったエッセイが納められている。

幼い日、初めて触れた時にはわからなかったあれこれが、ある日「ああ、あれは、あの言葉はこういうことだったのか」と、ふと気づく瞬間。
読んだ本を読んだときの思い出と共に心の本棚にしまい込んだ本を再び開いたときに、ページの間から溢れ出す思い出がある幸せ。

本を読む楽しみを改めて実感させてくれるエッセイだ。

「本に読まれて」は、新聞や雑誌に掲載された書評を集めたもので、古今東西様々な作品が紹介されているのだが、不思議と読みたい本のリストが伸び続けることがないのは、著者と私の読書遍歴が多少なりともかぶっているせいもあるが、本をきっかけに流れ出す著者自身の物語の方に興味を引かれてしまうからかもしれない。
とりわけタブッキや池澤夏樹とのエピソードが印象的だ。

それは同時収録されている、単行本未収録の書評やエッセイ群にもいえることで、須賀敦子の書評は本を紹介するというよりは、本に出会ったときの彼女自身を描いた彼女しか書き得ない作品のように思われる。
いつか同じ本を手にしたとき、(ああそういえば、須賀さんはこの本のことをあんな風に言っていたっけ)と、私もきっと心の引き出しから、一つ、二つ思い出とともに取り出して、自分だけの物語としてその本を読むんだろうという気にさせられるのだった。


<関連レビュー>
須賀敦子全集第1巻
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  • 本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
  • 掲載日:2017/08/17
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