冒頭、「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ…」。エルサレムを訪れていたポアロが耳にした男女の囁きは闇を漂い、やがて死海の方へ消えていった。
死海の方向に声が聞こえていくという詩的な表現が好きです。
これからの殺人が予測される不穏さな空気が出ていました。
元刑務所の看守だった年老いた資産家の婦人には、二人の息子と、その妻、二人の娘がいて、彼女は威圧的で家族を支配していた。そんな彼女が殺害される・・・。
当然、この家族には殺害の動機がある。
他に友人の男性とか、医者の女とか、代議士の女も同じ場所に旅行していた。
医者の女性は、ここの家の次男と恋仲となる。
彼女は、被害者を病死と判断する。しかし、ポアロはそうとは思わない。
医師の彼女は、脳裏に彼の顔が浮かんだに違いない。
そこでポアロにオリエント急行殺人事件の話しをする。
暗に、この可哀そうな家族を見逃してくれと言うのだが・・・
ポアロは激高する。
このシーンが印象に残った。
いつものようにみんなの証言を聞き、矛盾を突き合わせていく
容疑者は、当然、被害者の家族となる。
「誰が犯人か」ではなく「犯人でないのは誰か」という視点で謎解きをするスタイルが斬新だった。
今回の犯人は、母親の性格がヒントになった。
にしても、驚いた。
伏線が最後にすべて回収され、嘘でしょというラストを迎える。
ポアロの出てくる作品の中でも謎解きが秀逸な傑作だった。
めちゃぐちゃ面白かった。
2024 8 18
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