読みながら頭に浮かんでくるのは“学級崩壊”という言葉。
6年3組は学年の途中で担任が替わることになる。
どうしてそんなことになったのか?
4章+エピローグに文庫版書き下ろしの特別篇を加えた構成で語られる物語は、章ごとに語り手を変えることで、様々な角度から“クラスの実態”を描き出すことに成功している。
その描写があまりにもリアルで、読みながら遠い昔のことであるはずのあれやこれやを思い出してはとても苦しくなってしまい、思わずページをめくる手をとめて、深呼吸が必要になるほど。
そうだった。
学校のアレは“カースト”ではなく“ヒエラルキー”で、その立場は固定されていない。
かつて毎日のように遊んだ幼なじみと、いつの間にかまったく違うグループに属するようになっていた、なんていうのはよくあることだし、やっとの思いで“上位カースト”にくい込んだつもりが、ある日突然、ハブられることだってある。
仲間はずれになりたくなくて道化役になってみたり、学校と塾とで自分を使い分けたり、互いの顔色をうかがいながら仲の良いふりを続けてみたり……。
読みながら、クラスの中に自分の居場所を確保することに一生懸命だった“あの頃”を思い出さずにはいられない。
あの頃、躓いていた私に、“長い人生の中で、学校生活なんてほんのひとときにすぎない”のだと、周囲の大人は諭すように口したけれど……。
子どもにとっては家も学校も親も友だちも、目の前にあるものが世界(すべて)で……。
胸に痛みを覚えながらも、“こんなにしんどい物語を、リアル小・中学生はどう読むのか?”“そもそもこれは、どういう読者層を想定して書かれているのか?”などと、頭の片隅で考えていたのだが、この作品、初出は大人向けの雑誌での連載なのだという。
さらには、複数の難関中学校で入試問題に出題され、2020年の中学入試国語においてもっとも話題になった小説なのだとか。
リアルすぎる…といった感想は、過去を振り返る大人たちのもので、今の子どもたちはこんなに痛々しくはないよ……と、誰かに言って欲しい気はするけれど、そう甘くはないことはよくわかっている。
なぜってやっぱり、子どもの社会は、大人社会のそれと切っても切れない関係があるものだと思うから。
救いも希望もないとは言わない。
それでもやっぱり、いろいろとしんどい。
その子どものしんどさに、少しでも寄り添える大人でありたいと思いはするけれど……。
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