毎年、年末になれば頭の痛いことが多数ある。
大掃除やら、大掃除やら、大掃除やら・・・・・・etc.
増えすぎた本棚の整理は、毎年泣きながら行う恒例行事だ。
来年出会うであろう素敵な本たちの為のスペースを確保するために、優先順位をつけてさよならする本を探す。
けれど、そんな本は見つかるはずもない。
だって全て、自分が選んで購入した本たちだもの。
だから私、考えた。
「そうだ、地元の図書館に寄贈しよう」
そうすれば、読みたくなったら借りられるし、手放した感も少なくなる。
こうして年末の頭痛から解放されたかのように見えた私なのだが、もう一つ問題が残っていた。
私、毎年年賀状を手書きしているのである。
パソコンでちゃちゃっと印刷してしまうのは味気ない気がして毎年手書きしているものの、字に自信があるわけではない。
なんなら自信がないのだが、「丁寧に書けば気持ちは伝わる」と自分に呪文を掛けて書いているわけである。
こんなことを書いているが、明らかに最初の一枚と最後の一枚では字が違うし、途中で「来年は筆まめでいいかな」などと思うこともある。
それでも一念発起。
今年は本書で美文字を手に入れてから年賀状を書こうと、張り切る私。
まずは、万年筆を選ぶところから。
これはとりあえず、家にあった安価なものを使うことにする。
学生時代、試しに買ってほったらかしにしていたものだ。
インクはカートリッジ式で、きちんと取り外していたものだから液漏れも何もなく、カートリッジさえ取り付ければすぐに使える。
でかした、当時の私。
ただし、本書には万年筆内でインクが固まったりしている場合の対処法も載っているので、そういう場合でも慌てる必要はない。
私はとりあえずあるものを使うことにしたが、本書には万年筆の種類から選び方まで丁寧に説明されているので、私も余裕ができたら一生物の万年筆を選んでみようと思っている。
万年筆が用意できたら、次は万年筆を使うことによって得られるメリット・デメリット。
そして、本書の著者である青山浩之先生が唱える『青山メソッド』を学ぶのだが、私はここで大興奮。
以前Eテレの番組で、青山先生の硬筆の美しさを知った私。
その時に見聞きしていた『中心線串刺し法』が出てきた時点で、「あーこれ、見た見た」と大喜び。
それ以外の青山メソッドも復習しつつ、実際に少し書いてみて自らの悪い癖を知り、それを頭に入れたうえで、いよいよ実戦だ。
ここで本書の最大の特徴が活きてくる。
実は本書には本書の内容に即した練習帳が付いており(取り外し可能!)青山メソッドを理解しつつ実践していくことができる。
もちろん私も、惜しげもなく書き込んで練習してみた。
正しい姿勢で、正しい持ち方で。
悪い癖が出ないように、青山メソッドに従って練習していった。
基本的な部首やひらがな、カタカナ、数字。
それを、かっちり美文字(楷書)と、さらさら美文字(行書)で練習していく。
50音のお手本も付いていて、とても親切だ。
丁寧に、バランスや大きさを考えながら書いていく。
のだが、字が掠れたりでなかなか上手くいかない。
持ち方や圧のかけ方に問題があるのかな。
私の場合、美文字を手に入れる前に、万年筆の使い方から徹底的に練習しなければいけないかもしれない。
けれど、器用な人はすぐに万年筆を使いこなし、どんどん美文字を手に入れられるに違いない。
年末はお仕事にマラソンにと大忙しだ。
時間もないし、泣く泣く来年の年賀状を万年筆で書くことは諦めた。
けれど、次こそは!という気持ちでみっちり一年かけて鍛え上げ、再来年の年賀状こそ万年筆で書きたいものである。
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