中島さんの小説は何冊も読んだことがあって、どの作品でも、人の心の移ろいやすさや、黒いものを感じることが多かったので、真面目な方というイメージがあったのですが、このエッセイを読んでみて、意外とおっちょこちょいなところや、食い意地が張っているところ、割と普通のおばさんモードも持っている方なのだということを発見しました。
スマホやらSNSやら、いつも何かに追っかけられている毎日から逃れて、ぼーっとする小さな旅に出かける中島さん。遠くまで出かけなくても、電車で日帰りができるくらいの距離へのおでかけってところが、とってもいいんです。
わたしは晴れの日に人の頭の間を縫って眺める梅より、雨天にそぼ濡れて色を濃くする梅を眺める方を好みます。(池上梅園にて)
晴れた日の梅園は人で一杯だれど、雨が降るととたんに誰も来なくて、美しい梅を独り占め!(編集者さんと一緒なので二人占めですね)、これなら、ぼーっと梅を見つめられます。
ぼーっとするためには、いくつかの重要な条件があることに気づいた。
1. 空間的な広さ
2. 人間が多すぎないこと
3. 疲れすぎないこと
ぼーっとしようとしに行ってるのに、予定を細かく立てて疲れちゃったら本末転倒です。行く先だけ決めて、そこで見つけた説明板を読んで「そうだったんだ~」って思うくらいがいいんですよ。でも、その内容からご自身の教養があふれ出て、違う所へ妄想が膨らむところが、さすが作家さんです。
野鳥公園、天文台、植物園、水族館、美術館。大山詣り、梅園、石の採掘場、などなど、ちょっと思い立ったらすぐに行けそうな場所で、のんびり「ぼーっと」する。近くを散歩して、地元のおいしいものを食べて、お土産を買って帰る。こういう小さな幸せを見つける旅を、わたしもマネしたくなりました。
#今日もぼーっと #NetGalleyJP
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今日もぼーっと行ってきます
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