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いいっすよ、これ。いったいどう説明つけるんだってくらい「星を継ぐもの」的なスーパーとんでもな謎が提示されるけど、なるほどと感心しちゃった。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
一次元の挿し木
  謎が魅力的。二百年前の人骨のDNAが四年前に失踪した妹のものと一致した?なんじゃそれ、ありえないじゃん。「星を継ぐもの」かっちゅうの!しかし、このあまりにも魅力的な謎がいったいどんな真相にたどり着くのかという興味で読み始めた本書がさらに数々の謎にまみれてしまうのである。

 欲張りなんだけど、それが混乱を招かない。ありえない謎が次から次へと登場し、しかも物語の牽引が力強いもんだから、少しくらいの違和感なんかねじ伏せてどんどん進んでゆくのである。何が本当で、どれが事実なのか?最初は眉に唾つけて読んでいたはずなのに(だって、二百年前の人骨のDNAが、ああた、そんなことある?)知らず知らずのうちに結末へまっしぐらの特急で一直線に突き進んでいっちゃうんだからどうしょうもないでしょ。しかし、ヒマラヤ山脈の標高五千メートル以上に位置するループクンド湖って、本当にあるんだね。まったく知りませんでした。何百体もの人骨というのも本当だということで、まだまだ世の中には知らないことがいーっぱいあるんだなと驚きました。

 また、本書には一人とんでもないバケモノが登場するのだが、その描かれ方がなかなか秀逸。そいつが出てくるたびに映画「ノーカントリー」の異常な殺人鬼アントン・シガーを思い出した。ちゃぽん!という擬音の効果がすごく活かされている。この音だけで、あ、きたきたと身構えてしまうのである。

 ラスト、全ての謎がきれいに回収されるのは圧巻。あれがこうなって、そいつが、そ、そうなの?てな具合で物語上では納得いく解決だった。ていうか、これだけ広げた風呂敷をこれだけきれいに畳んでくれたら、大成功でしょ。作者本人は、本作が第23回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞じゃなくて文庫グランプリ賞だったのが悔しかったそうで、大賞作品の「謎の香りはパン屋から」は、ぼくも未読だけどタイトルの雰囲気からして本書のほうが断然好みだ。刊行に際して加筆修正されているということなので、そこらへんが受賞を逃した理由なのだろう。とにかく、こうやってお披露目された本書はデビュー作にして、驚くべきミステリとして記憶に残る作品となりえた。次作が楽しみです。
  • 掲載日:2026/02/24
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