藤谷緑里は中学時代バスケットボールに熱中していたが、本気でバスケが好きだったのではなく教師の熱意に飲まれていただけだと気付いて燃え尽き症候群に陥った。ならば、自分が本当にしたいことは何なのか。分からないままモヤモヤしているとき、アラスカのサウニケ島を空撮した写真を見て衝撃を受けカメラマンを目指す専門学校に入った。
夏休みに行った憧れのサウニケは良いところなどどこにもなく島民からは白い目で見られすっかり落ち込んでいたとき、島の子どもたちがバスケをしているのを見かけた縁からリタとシーラと仲良くなった。
サウニケは、地球温暖化の影響で海面が上昇しているため海に沈みつつあった。リタはそういう状況を世界に知ってもらうため行動を起こさなくてはという強い意志を持っていた。
冬のデナリの女性の単独初登頂者となる。世界的に有名になってサウニケの窮状を訴える。リタの願いはあまりにも強く、急を要していた。そして、ある冬リタはデナリに単独で登りアタックの様子を見に来ていたセスナ機のパイロットとの交信で「登頂成功」と伝えたあと遭難、帰らぬ人となった。
ところが、リタは本当は登頂していないのではというゴシップ記事が出て、リタは嘘つきの烙印を押されてしまう。シーラはリタの汚名を雪ぐために冬のデナリに登ることを決意し、緑里に登頂の写真を撮ってほしいという。
自分が本当にしたいことは何か。命をかけられるものがあるか。
命をかけてまでやりたいと思える何かに打ち込んでいるという人はどのくらいいるだろう。きっとそんなにはいないから、人はそういったやりがいを持っている人に憧れるのだろう。
地球温暖化についても、ニュースでは聞いていてもそれほどの実感はない。でも、間違いなく、サウニケのように日々迫りくる危機となっているところもあるのだ。日本だって島国だから、明日は我が身で他人事ではないはず。
環境問題、民族差別、ジェンダー、いろんなことを考えさせられたが、緑里がそんなにも短期間に冬のデナリに登れるようになる? と、そこだけが引っ掛かかってしまった。
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