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ゲイ・カップルの日常お料理日記

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!免許皆伝
  • きのう何食べた?(1) (モーニングKC)
  • by
  • 出版社:講談社
きのう何食べた?(1) (モーニングKC)
LGBTというと、偏見で色眼鏡で見られるか、人権的に擁護しなければならないと思うか、何だか両極端になることが多いような気がしている。後者の立場をとるとしても、「そういう人もいるよね(自分は違うけど)」というのが多いように思うのだが、どうなのだろうか。少なくとも、感覚的にどんな感じなのか、というのが、(「私は」)今一つよくわからない。けれど、そこをもう少し突き詰めてみないと、結局のところ真の理解にはつながらないのではないかと思ったりしている。

男女逆転「大奥」でも知られる作者のほんわか日常系マンガ。
ちょっと変わっているのは主人公が弁護士と美容師の男性ゲイ・カップルであること。
付き合って3年目、すったもんだもなく、アツアツすぎもせず、いい具合に落ち着いた生活だ。ミソはこの2人の「おうちごはん」が各話の大きな部分を占める点。
ある日の献立は、鮭とごぼうの炊き込みご飯に小松菜と厚揚げの煮びたし、作り置きの大根とほたてのなます、卵とたけのこの千切りのザーサイ炒め。おいしそうで品数も多いが、材料はスーパーの安売りであったりするし、意外に手間もかからない。
料理担当は弁護士の筧史郎の方。イケメンだけど金には細かくナルシスト。ドライで口も悪いが、頼まれたら案外面倒見がよい。
対する美容師の矢吹賢二は、人当たりがよく、口うるさい客にも根気よく付き合う癒し系。自分がゲイであることもこだわりなくカミングアウトする。アイスなど衝動買いしては史郎に小言を言われるけれども、それほど堪えてもいない。

1つ1つのお話の中で、小さな事件が起こり、そして史郎がごはんを作る。
それだけといえばそれだけであるが、ゲイの2人であるから、それにかかわる問題も多い。
例えば家族の無理解であったり、2人の過去であったりするわけだが、あまり重くなり過ぎず、ふーん、なるほどそんなこともあるのか、と比較的軽めに読めるのがよいところだろうか。

この巻で1話あげるとすると、7話目のDVの話だろうか。
配偶者のDVがひどくて離婚したいという相談が持ち込まれたが、史郎のところに連れてこられた依頼人はごっつい大男。暴力をふるっているのは奥さんの方なのだという。保護を断ろうとする被害者の夫のひと言がすごい。「帰らないと女房にもっと殴られる」。これは典型的なDV被害者のセリフと気づいた史郎は彼のために手を打つことにする。
最終的に事件が決着した後の被害者の感謝の言葉がよい。

この話をはじめ、性別ってなんだろうか、偏見って何かな、理屈でわかっても完全には受け入れられないってどういうことだろう、と、少しずつ揺さぶりを掛けられるところはある。
だが小難しいことを抜きに、食を中心に据えている構成もよいのだろう。なんだかんだいって、おいしいものを親しい誰かと食べて、それだけで解決することというのは、存外多いのかもしれない。
  • 掲載日:2019/01/07
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