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あくまで架空の物語なのに、きっとこういう現実が地球上のどこかにあるはずと思わせる、恐ろしい七つの短編集は、何かに囚われている人達の物語。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
奴隷小説
『雀』
長老の嫁になるのを拒絶すると、舌を抜かれて「雀」とよばれるという村。
「雀」の娘が十五歳になろうとする今、年寄りの長老の嫁にさせられそうになる・・・

『泥』
学校ごと生徒全員が拉致され、泥に囲まれた島で監禁されてしまう・・・

『神様男』
母子家庭で二人の娘を育てていたのですが、姉がアイドルになりたいと東京に。
そして妹までもがアイドルになりたいと言いだすのです。

『REAL』
二十歳になる直前の娘に自殺された女が、ブラジルの友達に会いに来て、娘に似た女の子に会うのですが・・・

『ただセックスがしたいだけ』
冬になると川向こうの村から、女たちが食料をもらえるのをアテにして男たちの家を訪れてくるらしいと知った若者は・・・

『告白』
ささいなことから藩の役人を殺めてしまった煙草商人の息子は、天竺の、しかも半島の向こう側まで逃げて来ます。そこで日本人の老人に聞かされた物語とは。

『山羊の目は空を青く映すか』
管理所に収容された囚人家族。父が死んだので代わりに鐘突き番となったタンネが鐘楼のてっぺんから見た世界とは一体・・・


大人のための恐ろしい寓話集といってもいいような物語たち。
けれど、
架空の舞台のはずなのに、世界のどこかでこういう所、あるよね、という物語ばかりで・・・
学校ごと女子生徒全員が拉致され、取引に使われたり、取引に仕えなくなると奴隷にされたり、
そういうことは現実に世界で起きていることで・・・


完全なる自由な世界に生きている人なんて、世界中にどれぐらいいるんでしょうね。

ありあまるほどのお金、権力、
そういうものを持っている人でさえも、完全なる自由ってなかなか手に入らないのではないかしら。


でも、
何かに囚われて生きている方が、
何もかも自由であるよりも、楽に生きられるのではないかしら?


なぁんてふっと思っちゃった私は、
ちょっと危ないのかしら???
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  • 掲載日:2016/12/14
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