読書の重要性を主張する本である。日本人は本を読まなくなった。しかし、ネットにあふれる文章はたくさん読んでいる。
だが、著者によれば、ネットで文章を読む時、私たちは「消費者」になっているという。面白い文章だけを求め、読んではいるが何も身についていない。一方、読書は「体験」である。読書をすると人生観、人間観を深めて想像力を豊かにし、人格を大きくしていくことができる。
大学の先生も本を読まなくなっているという。専門以外で教養になった本を3冊上げてくれと言うと、言えない人が多いらしい。
著者は哲学なしに科学をしたり、文学を知らずに経済学をしたりするのは危険だと主張する。だから、大学の1年ではリベラルアーツを学ぶ。
リベラルアーツなども含めて読書をすれば「深い人」になれるという。読書によって雑学や豆知識ではない統合された血肉となるような幅広い知識(教養)を身につけることができるのだ。
私の場合、冊数はけっこう読んでいるつもりだが、あまり深く読めていないという自覚がある。だから、「思考力があるかどうかは、読書感想文を書かせてみれば分かる」という本書の一文にドキッとした。レビューを書き始めたころは人が感心するような文章を書こうとして工夫していたのだが、レビューの数を追求しているうちに、いつの間にか質を重視しなくなっていたのだ。初期のレビューのほうが読んでもらう価値があると思う。以前は、本を読みながら感じたことや考えたことを順不同でメモしていき、後で順番を入れ替えたりつないだりしてレビューを書いていた。そんなこともしなくなっていたのだが、この本を読み、もう一度前のやり方で人が読む価値のあるレビューを書くように気を配りたいという気持ちになった。少しでも質の高いレビューを書いていきたい。
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