短歌はいい。そう思える自分もいい。何がいいのかいろいろ考えてみたけど、これはやはり理屈ではなく、身体に直接働きかける感覚なのだ。だから、本書の中にもいいと思うのもあるけど、あんましって思うのもある。
刺さるっていうの?心に食い込んで息苦しくなるのもあるし、思わず笑っちゃうのもある。能天気なのもあれば、深刻なのもある。明るいのに残酷なのもあるし、心地よく裏切ってくれるものもある。
ひねったもの。変わった取り合わせ。少し非現実、圧倒的にリアル。あまりにもストレート。ストレートで一番心に残ったのは
からっぽの病室 君はここにいた まぶしいくらいここにいたのに
かなしい。とてもかなしい。でも美しい。ここにいた君は、記憶の中で神々しく輝いている。美しさと喪失、二つの要素が心乱す。
また、思わず笑っちゃうのが
懐で暖めていたグミかない信長様に蹴られてしまう
そりや蹴られるわ。小栗旬、この間も蹴っていたもの。
なんだか楽しい。短歌は新しい世界を展開し、ぼくを翻弄する。気持ちがザワつき、この短い端的な喜びが死の気配をも漂わせることに漂然とする。
刺激があっちとこっちをつなぎ、ぼくも創造したくなる。
鯖寿司を 毎日食べて 胃をこわす それでも食べて やがてくびれる
うつむいた 目線の先に 猫の首 どこからきたの ついてこないで
笑い声 耳に残って ふりむけば 大口開けて 血まみれのきみ
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