何気なく図書館で手に取ったこの本。
世界史を変えたとは、なんと大風呂敷な!と思いながら読み始めたが、本当に一粒の実、一本の木・草が世界を動かしている事実を知り驚いた。
取り上げられている植物は
第1章 コムギ ー 一粒の種から文明が生まれた
第2章 イネ ー 稲作文化が「日本」を作った
第3章 コショウ ー ヨーロッパが羨望した黒い黄金
第4章 トウガラシ ー コロンブスの苦悩とアジアの熱狂
第5章 ジャガイモ ー 大国アメリカを作った「悪魔の植物」
第6章 トマト ー 世界の食を変えた赤すぎる果物
第7章 ワタ ー 「ヒツジが生えた植物」と産業革命
第8章 チャ ー アヘン戦争とカフェインの魔力
第9章 コーヒー ー 近代資本主義を作り上げた植物
第10章 サトウキビ ー 人類を惑わした甘美なる味
第11章 ダイズ ー 戦国時代の軍事食から新大陸へ
第12章 タマネギ ー 巨大ピラミッド建設を支えた薬効
第13章 チューリップ ー 世界初のバブル経済と球根
第14章 トウモロコシ ー 世界を席巻する驚異の農作物
第15章 サクラ ー ヤマザクラと日本人の精神
農業は重労働である。
だから、周囲に自然の恵みがある土地に住む人間は農業をしない。
森の果実や海の魚が豊富な南の島の住人は厳しい労働をしなくても生きていけるのである。
が、自然の厳しいところでは、重労働であっても食べ物が得られるのであれば、農業の重労働を厭わないのだ。
そして農業により安定した食料を得られるようになった人は、もう一つの事に気づいた。
米や小麦、とうもろこしのような穀物の種子は食べるだけでなく、保存することができ、残った種子は「富」となるのだ。
農業は過酷な労働を必要とするが、一度農業を知ってしまった人類に、農業をやめてのんびり暮らすという選択肢はない。もはや誰もやめることができないのだ。こうして農業によって人類は人口を増やし、村を作りだし、村を集めて強大な国を作るようになる。「富」を持つ者と持たない者には格差が生まれ、富を求めて、人々は争うようになった。
なんと!
本ではこの「富」を得るために、自然が厳しく貧しい国であったヨーロッパの人々が豊かな自然を持つ国々を植民地とし、その国で幸せに暮らしていた人々を奴隷として農業に従事させ、搾取していくシステムを植物を通して説明している。
実に腹立たしいが、でも歴史がそれを物語っているのだ。
13章に紹介されるチューリップは、バブルを呼び、そしてバブルは弾け、オランダは急速に力を失った。
この展開、そう、日本でもあった。チューリップでは無かったけれど。
同じ過ちを繰り返してしまう私たち。
やっぱり人間は植物に操られているのでは?
何百年か後に宇宙から植物が大笑しながらやって来て「やっと私たちの時代が来た。人間たら思っていたより地球を荒らしてくれちゃったわ。」なんて展開になるのかも。
この書評へのコメント