イギリスと日本との比較を描いた人と言えばリンボウ先生こと林望、とマークス寿子が双璧をなす。
この2人は、イギリスのすばらしさを表現し特に寿子さんはそれに比し、日本、日本人のだめさ加減を描く。
高尾さんの熱烈な読者、留学生の瑤子さんが高尾さんを訪ねてきて嘆く。自分が遭遇しているイギリスをみて痛烈にイギリスを批判し、皮肉る。
「みんなに『ベストセラーになった林望やマークス寿子も、イギリスはこんなにいい国だって言っているんじゃないの、あなたの場合は、特殊なイギリス人に会っているんじゃないの』のとみんなにいわれるんです。」と瑤子さんは嘆く。
私には経験はないが、会社の駐在員がイギリスであるバーにはいったところ、入店を断られたり、べつの入り口から入るよう店から言われ、そちらから入ると、一般の労働者が酒を飲んでいた。彼が最初に入った方は上流階級や貴族のためのバー。今はどうか知らないが、イギリスは階級によって暮らしや憩う場、交わる人が異なるようになっていた。
林望は、オックスフォードとケンブリッジに研究のため滞在し、高級クラスの人たちと交流、貴族ブロートンのマークス男爵マイケル・マークスと結婚しマークス男爵夫人といわれた女性。
一方、高尾慶子は、渡英してユダヤ人のやっている洋品店の店員や、ハウスキーパー、学生食堂のレジ、瑤子さんも含め完全にワーカー階級の人たち。すべて、上流階級の人たちとは見る世界が違う。
高尾慶子さんが空き巣に入られ、色々の品物、お金が盗まれる。警察がやってくるが、全く捜査はしない。被害届は受理するが・・。下層民の事件など警察はまともに捜査しないのである。大家がネームプレートのついたドアを特注で作ることを決め、業者に依頼する。2週間たってやっとやってきた業者がドアの寸法など詳細に図りながらデザインを決めてゆく。それから、一カ月もたってから、業者がドアができたからとやってくる。ドアをはめようとするがはまらない。そして業者は寸法を間違えたとドアを持って帰ってしまう。
庶民と上流階級への対応が全く違うのである。
そりゃあ、林さんやマークス寿子さんから見ればイギリスは天国だろう。
この書評へのコメント