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直木賞受賞作。雰囲気重視の作風です。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!免許皆伝
  • カフェーの帰り道
  • by
  • 出版社:東京創元社
カフェーの帰り道
直木賞と芥川賞は、候補作品が発表になるときにチェックすることがあります。題名と書誌情報から本作を読むことにしました。そうしたら直木賞受賞となり、何か訴えかける作品なのだろうと想定して読み始めました。

それにしても、これくらい穏やかな作品が直木賞受賞というのも珍しいのではないでしょうか。近年は、癖の強い作品が選ばれる傾向があると思っていましたので。本作は、万人向けの読みやすい作品で、心理描写もあまり深くはありません。とはいえ、ベストセラー的な読みやすさとは違いますので、区別が必要ですが。

全五篇の連作短編集です。上野にあるカフェが舞台です。時代は大正のようです。カフェには女給さんがいて、評判のいい人はチップを稼いでいた時代です。中には、スナックやキャバレーの前身みたいなカフェもあったようですが、本作の舞台はただの喫茶店です。

第一話、稲子のカフェー。最近、夫の行動が怪しいと聞きつけた稲子が、情報をたどってカフェーにやってきたのです。ターゲットは、竹久夢二の描く美人画みたいな女給です。夫がその女給の家に上がり込んでいるらしいと聞き、まずはどんな相手なのかを確認にきたのでした。なぜ、そんなことになったのか。いったい夫は何をしているのか。よからぬ心配が次々と湧いてくるのは仕方のないことです。しかし物語は思わぬ方向に展開していくのです。

これだけ読むと、なんだか浮気モノのどろどろした愛憎劇を連想しますが、文章が終始おだやかで、修羅場みたいな雰囲気は微塵もないのです。大正ロマンあふれるカフェーで、のほほんとした時代をそのまま反映しているようなお話でした。

連作では、時間の流れに合わせて語り手をバトンタッチしていく構成です。主張の強くない作品が並んでいるので、ゆっくりとコーヒーをたしなむ気持ちで読む一冊ですよ。
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  • 掲載日:2026/04/20
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