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スティーヴン・キングにしてはよみやすいファンタジー。

フェアリー・テイル 下
上下巻合わせての書評です。

主人公の少年チャーリーが住む町には、〈サイコハウス〉と呼ばれる不気味な屋敷がある。そこには偏屈なボウディッチ老人が1人住んでいて、敷地内に入ろうとすると猛犬が襲いかかってくるという。

高2の4月のある夜、サイコハウスのそばを自転車で通りかかったチャーリーは心細げな犬のなき声に足を止め助けてくれ」と言う声を聞きつけて、梯子から落ちて骨折しているボウディッチ老人を見つけた。ボウディッチを助け彼の老犬レイダーの世話をすると約束したことから、ボウディッチとチャーリーは急速に親しくなっていく。

ボウディッチは無職なのに、高級スーパーの配送を頼んでおり、お金には困っていないようだった。だが、高額な医療費をどうするのだろうと訝っていたチャーリーに、ボウディッチは驚くべき依頼をした。金庫の中の金の粒を換金してきてほしいというのだ。金庫の中には、バケツいっぱいの金の粒が残っていた。ボウディッチは、いったいどうやってそれを手にいれたのか。

ボウディッチのもう一つの謎は、敷地内の小屋だった。チャーリーは一度その中から奇妙な物音を聞いたが、ボウディッチはそこが何か教えてはくれず、決して近寄らないとチャーリーに約束させた。
チャーリーがその小屋の謎を知ったのは、ボウディッチが亡くなってからだった。その小屋には異世界に通じる井戸があり、ボウディッチはそこから上がってきたものを撃ち殺したあと心臓発作で倒れたのだ。

ボウディッチがチャーリーに遺したテープによると、異世界にある日時計を逆回しすると年を若返らせることができる。ボウディッチもかつてその日時計に乗り、自分の息子として戻ってきたのだという。そこにレイダーを連れて行ってレイダーを若返らせてほしいというのが、ボウディッチの遺言だった。かくして、チャーリーの異世界への冒険の旅が始まる。

上巻はちょっとした不気味さも交えながら進んでいくが、下巻ではがらりと雰囲気が変わり完全にファンタジーの世界となり、既存のおとぎ話との関連があちこちにちりばめられている。
だが、レイダーが若返りずいぶん簡単に目的が達成したなと思ったところで、チャーリーが暗黒集団に捕まってしまい、そこからチャーリーが救いだされるまでが結構長かった。そのあとの展開を「おとぎ話お決まりの」にしたかったから、ちょっと特徴を出したかったのか・・・?

若返りの日時計は本編でも何度も言及されているように、レイ・ブラッドベリの『何かが道をやってくる』(結構怖かった)に由来するのだろう。そして、ラスボス的怪物の名前をチャーリーが連呼する場面は、まあ「大工と鬼六」型のおとぎ話の典型なのだろうけれど、私的には『ゲド戦記』でゲドが竜の名前を語ってその活動範囲を狭めたのと一緒じゃんとちょっと笑ってしまった。(悪い意味ではなく)
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  • 掲載日:2026/04/16
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