ぽんきちさん
レビュアー:
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「絶対、おいしく食べてやる」
著者は写真家。出産に関わる写真をライフワークとしている。
東日本大震災を1つの契機として、それまで住んでいた東京から縁もゆかりもない長崎へと移り住む。そこで猟師の「おじさん」と知り合い、肉を分けてもらうようになる。そうこうするうち、狩猟の現場にも連れて行ってもらえることになった。
カメラのファインダー越しに、死の瀬戸際で猛っていたケモノが、命を失うさまを目撃する。
そしてケモノは放血・解体され、肉となる。
生きものが食べものとなる瞬間。
著者は思うのだ。
長崎に引っ越すことになった顛末。
試行錯誤しながら、「おじさん」にもらった肉の調理法をさまざま試し、おいしく食べられた時の喜び。
犬と猟をする別の猟師と、その女性スタッフの不思議な関係。
まだ幼い息子が養鶏をすることに決め、2年ほど卵を取ってから「潰す」ことにし、親子で奮闘する話。
鞣し皮職人を訪ね、その仕事ぶりを見学させてもらったときのこと。
そうしたエッセイの合間に、ケモノや猟師、解体や鞣し作業のモノクロ写真が挿入される。
元はウェブマガジンの連載で、それらを再構成し、書き下ろしを加えた作りである。
全般に生きることの手触りを探っているようなエッセイである。
食べることは生きること。
肉であったものはかつては生きていて、それを殺した延長線上に食肉はある。
死を目撃するのはやはり衝撃的だ。けれども、いやだからこそ、なのか、いのちをもらった以上は、肉であれ皮であれ、無駄にすることなく、大切に「いただく」。
そんな猟師や職人の気概を、間近で見守る著者もまた、いのちについてさまざまに思いを巡らせる。
整合性の取れた話ではない。結論があるわけでもない。
ただそうして、いのちの現場に立ち会うことで、見えてくる景色もあるはずだ。
読者もまた、著者とともにその現場に赴き、いのちについて考える。
そんな上質のフォトエッセイである。
東日本大震災を1つの契機として、それまで住んでいた東京から縁もゆかりもない長崎へと移り住む。そこで猟師の「おじさん」と知り合い、肉を分けてもらうようになる。そうこうするうち、狩猟の現場にも連れて行ってもらえることになった。
カメラのファインダー越しに、死の瀬戸際で猛っていたケモノが、命を失うさまを目撃する。
そしてケモノは放血・解体され、肉となる。
生きものが食べものとなる瞬間。
著者は思うのだ。
絶対、おいしく食べてやると。
長崎に引っ越すことになった顛末。
試行錯誤しながら、「おじさん」にもらった肉の調理法をさまざま試し、おいしく食べられた時の喜び。
犬と猟をする別の猟師と、その女性スタッフの不思議な関係。
まだ幼い息子が養鶏をすることに決め、2年ほど卵を取ってから「潰す」ことにし、親子で奮闘する話。
鞣し皮職人を訪ね、その仕事ぶりを見学させてもらったときのこと。
そうしたエッセイの合間に、ケモノや猟師、解体や鞣し作業のモノクロ写真が挿入される。
元はウェブマガジンの連載で、それらを再構成し、書き下ろしを加えた作りである。
全般に生きることの手触りを探っているようなエッセイである。
食べることは生きること。
肉であったものはかつては生きていて、それを殺した延長線上に食肉はある。
死を目撃するのはやはり衝撃的だ。けれども、いやだからこそ、なのか、いのちをもらった以上は、肉であれ皮であれ、無駄にすることなく、大切に「いただく」。
そんな猟師や職人の気概を、間近で見守る著者もまた、いのちについてさまざまに思いを巡らせる。
整合性の取れた話ではない。結論があるわけでもない。
ただそうして、いのちの現場に立ち会うことで、見えてくる景色もあるはずだ。
読者もまた、著者とともにその現場に赴き、いのちについて考える。
そんな上質のフォトエッセイである。
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分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。
本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。
あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。
「実感」を求めて読書しているように思います。
赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw
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- 出版社:亜紀書房
- ページ数:0
- ISBN:9784750516646
- 発売日:2020年09月25日
- 価格:1760円
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