「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃ…」エルサレムを訪れていたポアロが耳にした男女の囁きは闇を漂い、やがて死海の方へ消えていった。
どうしてこうも犯罪を連想させるものにぶつかるのか?
ポアロの思いが現実となったように殺人は起こった。
謎に包まれた死海を舞台に、ポアロの並外れた慧眼が真実を暴く。
ポアロの中近東を舞台とした三部作の一つである本作。
トリックらしいものはなくて読後にも関わらずあまり記憶に残るようなものはなかったけれど、読み易かった。
君主的な母親に子供たちが支配されているという設定はなかなか興味深くて現在で言えばこれはちょっとした虐待ではなかろうか?と思ってしまいました。
そんな母親を誰が殺害したのかをポアロが解き明かすという、ある種パターン化された構成だけど面白かった。
母親を殺害したのは家族の中の誰かなのか?それとも家族以外の誰かなのか?が焦点となって進んで行く。
実はこの母親は連れ子もいますがそれ以外には継母というなかなか複雑な構成だけど、連れ子達だけ可愛かるということはなく子供たちはみんな彼女の奴隷のような構図。
継母なので彼女が死ぬと彼らは亡き夫の莫大な遺産を引き継ぐことになり、それまで継母によって奪われた自由と裕福な暮らしができるというのも、このストーリーを難解にさせています。
しかし、世界最高の名探偵ポアロはいつものようにこの難事件を解決に導いてしまう。
私の予想では子供たちが犯人だと思ったのだけどなぁ。。。
不謹慎な言い方ですが、母親が殺害されて子供たちは何の制約も受けずに自由になり、裕福にもなったし幸せになったので良しとしましょう。
最後にタイトル「死との約束」は、自身の歪んだ欲望や支配欲のために他者の人生を狂わせる人間が、最終的に「自らが蒔いた種(過去の罪)によって殺害される運命」をメタファー(暗喩)している。
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