中島京子さんのエッセイを初めて読みました。
ぼーっとでかけるってどんなところへ行ってきたの? 東京港野鳥公園、国立天文台三鷹キャンパス、大山阿夫利神社、小石川植物園、池上梅園、伊能忠敬記念館、鎌倉ハイキング、市原湖畔美術館、大谷資料館、東京湾フェリー、葛西臨海水族館などへぼーっとする小さな旅へ出かけた中島さん。情景がよくわかって、行ってみたくなる。でも、果たしてぼーっとできたのかなと思うほどの詳しい説明。読み手は楽しいけれど。自転車でパッと行けるのに行ったことのない国立天文台。なんだか楽しそう。
印象的だったのが伊能忠敬記念館。伊能忠敬と言えば、日本中を歩いて地図を作製した人という認識だったけれど、酒や醤油醸造、金貸しなどを営んでいた伊能家へ婿養子に入り商いを学んだ忠敬。29歳から49歳までの20年間に資産を3倍に増やしたとか。天明の大飢饉には、備蓄していた米を村に配ったことで各地で起こっていた一揆が佐原では起きなかった上に、餓死者も出なかったという。隠居してからは、江戸に出て天文暦学を学び天体観測機器を自宅に作ってしまったらしい。やることをやって引退したら、自分の好きなことに投資して好きなことに没頭するというなんと素敵な老後。伊能忠敬は、日本地図を作りたかったのではなく地球の大きさを知りたかったらしい。
もう一つ印象的な場所が大谷資料館。それって何を観に行ったの?建築石材として知られる大谷石それって、旧帝国ホテルを造ったフランク・ロイド・ライトが使った石?フランク・ロイド・ライトが周囲から何と言われようと大谷石を使うことにこだわったのではなかったかしら。
ぼーっと行ってきたにしては、とてもおもしろかった小さな旅。中島さんは、おもしろくて良い人だなぁとお人柄が伝わる作品。胸の内のツッコミがなんといってもおもしろく、思わずクスッと笑ってしまう。読みやすいからサーっと読み終えて、一緒にぼーっと旅したような気持になりました。
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