和田さんは50代半ば(出版当時)の独身女性、ライターですがそこまで執筆機会が多くないということで、アルバイトで生計を支えています。
そのバイトの給料が「時給はいつも最低賃金」という状態です。
それがコロナ禍でさらに厳しい状況となってしまいました。
これはちょっとおかしい、なんとかできないかということで、「国会議員に聞いてみよう」と思い立ったということです。
そこで映画でも紹介されたという、立憲民主党の国会議員の小川淳也さんに連絡を取ってみたところ、なんと「一緒に考えましょう」という機会を貰い、様々な国政の問題点について素人丸出しの疑問を出して小川さんと共に考える、時には小川さんの盲点となることも無意識に出すといったことで、人口問題、税制と国家財政、労働問題、環境エネルギー原発、外交安保などなどを取り上げていきます。
なお、和田さんが本当に「何も知らなかった」のかどうかは分かりませんが、あたかもそのように書かれているのはフィクションかノンフィクションか。
ある程度は知っていても知らない振りをしている可能性もあるかもしれませんが。
小川淳也さんは衆議院議員、かの民主党政権時代にも議員であったということで、その過程やその後の安倍政権の政策等、非常に詳しく通じているようで、ポッと議員になったばかりの連中とはかなり差がありそうです。
分断を広げ自分の支持者だけを優遇したような安倍政権については厳しく批判していますが、その中で「全員に目を向けなければならない」という課題に対し、「私は安倍政権支持者を”全員”に入れていなかった」と反省しています。
これには私も大いに反省。安倍政権支持者などは欲に目がくらんだ者ばかりと思い、「我々」とは思いもしなかった。
(現在で言えば参政党支持者、高市支持者といったところでしょうか)
そういった人々の気持ちというのもの少しだけでも想像することが必要でしょう。
前の民主党政権では様々な給付を実現すると言っていました。
その総額16兆円。
国の総経費は、一般会計100兆円、特別会計300兆円の計400兆円ほどありますので、その中で16兆円くらいはひねり出せると当時の民主党政権は考えたようです。
しかし小川さんも反省するように、そのほとんどは動かすのも難しいもので、そこから出して給付金とすることは不可能だったということです。
小川さんと和田さんの会話の中で、小川さんは政治家の立場から「国民」という言葉を使いますが、和田さんにはその言葉は使ってほしくないと言っています。
国民という言葉の意味には「国家を構成する成員」というものの他に「その国の国籍を持つ者」というものがあります。
現在の日本(日本ばかりでなく世界の国々)にはその国の国籍を持つ者以外にも多くの人々が暮らしています。
国民という言葉を使う場合、無意識に「日本国籍を持つ」ということを入れてしまう危険性があります。
「日本社会に生きる人々」という全体を表すには国民という言葉はちょっと不適切だということです。
なかなか上手な文章で、全く政治などのことについて知らない人でも引き込まれていくのではないかと思います。
これでライターだけで生活できないというのはやはり現代日本の厳しい状況があるということでしょう。
この書評へのコメント