『新しいリベラル -大規模調査から見えてきた「隠れた多数派」-』橋本努著 金澤悠/著 を読む。
若者層は保守支持、革新支持は老人層とか言われている。確かに、駅頭でビラを配る共産党の方々はお年寄りばっか。で、ほんとうにイデオロギーの対立は、選挙民にウケなくなったのか。従来のネオリベ(ネオリベラリズム(新自由主義))とは、どう違うのか。などふだん抱いている数々の疑問について答えてくれる。「7000人を対象とする社会調査」をエビデンスに、新しいリベラル像を緻密に分析していく。
リベラル=自由=左翼と思われがちだが、この層は平等よりも自由を重んじるわけだから、本来の意味からして大きな政府じゃなくて小さな政府を支持するはず。共存より競争を重んじるはず。ところが日本では、意味がごちゃごちゃになっている。
ざっくりと引用。「リベラル勢力の衰退の3つの要因」
「(1)自民党の経済政策がリベラル化(福祉国家)したため、リベラルな野党勢力はこれを容認せざるをえなくなった
(2)自民党の政治的・社会的政策もリベラル化したため、リベラルな野党勢力はこれを追認せざるをえなくなった
(3)憲法と平和をめぐるリベラルな勢力の立場は、大きな批判にさらされた。その具体例として、従軍慰安婦報道をめぐる朝日新聞の信用失墜、憲法9条死守という立場の矛盾、日本軍による集団自決命令の事実確認など」
要するに自民党は野党の売りをパクった政策を訴えることで、それなら自民党のままでいいじゃんと思わせたってことか。自民党は英語表記だとLDP(Liberal Democratic Party)。リベラルでデモクラティック、うーん。
「新しいリベラル仮説」
「(1)従来型のリベラルは「弱者支援」型の福祉政策を支持するのに対して、新しいリベラルは「成長支援」型の福祉政策を支持する
(2)従来型のリベラルは高齢世代への支援を重視支持するのに対して、新しいリベラルは子育て世代や次世代への支援を重視する
(3)新しいリベラルは、<戦後民主主義>的な論点には強くコミットしていない」
高齢世代=選挙に行く人(票田)だったので、高齢者にお手盛りだった福祉政策だったが。ようやく団塊ジュニアやZ世代など若い人=新しいリベラルに政策をシフトするようになったのか。
「戦争と平和と新しいリベラル」
「新しいリベラルは、日米安全保障条約を解消すべきだとは思っていないし、従軍慰安婦問題への徹底的な謝罪は不要だと思っている。絶対平和主義を堅持する必要はないとも思っている。ところが非核三原則については、これを堅持すべきだという」
高市総理の支持率の高さが、うなづける。非核三原則堅持については、このように述べている。
「新しいリベラルは、絶対平和主義のような非現実的な理想には共感しないけれども、たんなる軍事的リアリズムを支持するのでもない。新しいリベラルは、日本が世界平和に向けて、長期的な視野をもって何らかの行動をすべきだと考えているのではないか。―略―そのような、平和に向けた長期的な取り組みへの期待が、非核三原則の支持につながっているのではないか」
余談。中道改革連合って、いまになって思うと、なんかブームが終わってしまったタピオカ屋と鶏唐揚げ屋が無謀にも合併した感じ。新業態と一方的に宣言したが、やはり、飽きられてしまっていて、閉店ガラガラになったのと似ている。
新しいリベラル層が受け皿となる政党がまだないので、消去法で某政党を選んでいるのでは。
新書らしい新書。政治や選挙の辞書代わりに、ちょくちょく読み返しする一冊になるだろう。
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