「穴」「道」などの作家による、
エコ・バイオ・ミステリ・スリラー・コメディ・パニック小説。
私立校ウッドハッジ・アカデミーの十の美徳、それは、博愛、清廉、勇敢、慈愛、気品、謙虚、誠実、忍耐、冷静、自制。
5年生のタマヤ・ディルワディは貧しい家庭の出なので、学校の仲間に合わせるのは難しいのだが、常にこの美徳を守ろうと努めている真面目な生徒だ。
いい子ぶっていると思われがちだが、自然体である。
いじめっ子のチャド・ヒリガスを避けようとした弱虫マーシャル・ウォルシュは、登下校が一緒のタマヤと二人で森に迷い込み、タマヤは怪しい泥に触れてしまう。
立入禁止のその森には、クリーン・エネルギーの農場、サンレイ・フォームがあった。
帰宅したタマヤは、泥に触れたことによると思われる水痘発疹を発症するが、その時はまだ誰もその意味に気づかない。
誕生日を祝ってもらいたいチャドがゆくえ不明となり、
チャドをさがしにタマヤ、
タマヤをさがしにマーシャル、
かれらをさがしに犬たち(ミス・マープルら)が、森へと向かう。
事後の審問会での調査報告が、主人公たちの当時の行動と交互に語られてゆく構成も絶妙。
突然変異を起こした高エネルギー微生物の驚異的な繁殖という原因の解明と事態の収束について、
読者は少しずつ知識を得ながら、少年少女たちの物語を追うことになる。
どのように事態は終息するのか?そこはぜひご自身でお読みください。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行による非常事態にあってこの物語を振り返ると、
皮肉にも感慨深い。
危機に対処する者の資質として、私はウッドハッジ・アカデミーの十の美徳を推したい。
それは、博愛、清廉、勇敢、慈愛、気品、謙虚、誠実、忍耐、冷静、自制。
#はじめての海外文学vol.5で紹介されています。
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