雑誌『ダ・ヴィンチ(5月号)』のブックガイド「令和時代の歴史小説、最前線!」で紹介されていたので読んでみた。“おんな”の女房ってどういうこと?、と疑問に思うが、『ダ・ヴィンチ』の紹介文を読むとわかる。
『役者のもとに嫁いだ武家の娘、志乃。役者の生活は武家とはまったく違って戸惑うことばかり。しかも夫は女形で、家でも女として振る舞うのだ。妻として何をすれば良いのか。いびつで愛らしくて切ない夫婦の物語。江戸の粋、恋の情念、役者の業がたっぷり詰まっている』
この本の見どころを正に言い得ていて、これ以上の説明はいらないくらいです。
ただ一つ、追加して言いたいのは結末についてです。ネタバレにならないよう、慎重に表現しなくてはならないのですが…。
夫婦になって、といっても夫の燕弥は“おんな”に徹しているから“床入り”も済ませていないのだが、志乃は夫が時折り見せる素の部分(優しさや素直さ)に惹かれていきます。燕弥も元は役のためにと武家の娘を嫁にもらったのですが、志乃に心を寄せていきます。
役者として上り調子の燕弥。座の看板役者になろうかという段になって、病に見舞われます。おそらく白粉による鉛中毒かと思われます。「役者を辞めて、志乃と二人で暮らしていきたい」とまで言いますが、さて志乃はどうするか?
燕弥が本心では役者を続けたいことはわかっている。その生き方を応援したい。それが役者の女房としての務めではないか?
と思う一方で、
このまま役者を続ければ、原因はわからないけど職業病で亡くなってしまうかもしれない。普通の夫婦として幸せに暮らす生き方もあるのではないか?
とも思う。
二者択一の選択。お志乃さんはどちらを選ぶのか。
武家の娘として感情より道理を通したのかな いや、役者の女房としてあるべき姿を貫いたのかな、という結末でした(ネタバレしてる!?)。
この書評へのコメント