かもめ通信さん
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キミはクロユリを見たことがあるか!?(注:ちょっと?自慢が入っています。)
泉鏡花のこの「黒百合」は、明治三十二年夏に「読売新聞」で連載された長編小説。
舞台は富山。
珍花奇草を愛好する知事令嬢の勇美子は、なんとしても黒百合を入手したいと思っていた。
(はて?黒百合とは?いったいどんな花なんだ?)という読者のために、鏡花は作中でこんな風に紹介してくれる。
なかなか丁寧な説明だと思うが、それでもイメージがわかないという方のために、ここは一つ、我が家の庭に咲くクロユリをご紹介しよう。(※文末の写真参照←これがやりたかったらしくかなりのどや顔)
神通川の支流の奥「石滝」の背後には、人がその地へ踏み込むと暴風雨になると恐れられている「魔所」があって、黒百合はそこに咲くのだという。
花売り娘の雪は恋人の目の治療費欲しさに、この黒百合を取りに行こうと決意する。
その娘の後を追うのは、(あわよくば人気のない山中で…)と良からぬことを企む雪の美しさに魅せられた男たち。
さらにその後を泥棒華族・滝太郎が追い……。
果たして誰が黒百合を手に入れることが出来るのか?
そしてまた雪の心を射止めるのは……!?
はたまた破られた禁忌は、本当に災厄を招くのか!?
流域の村々をたびたび襲ってきた神通川流域の洪水と、立山に伝わる「黒百合伝説」を結びつけ、さらには当時、文壇で流行しはじめていた“冒険小説”の流れにのった、泉鏡花の新聞小説。
発表当時から構成上の欠陥が指摘されるなど、作品の完成度には色々批判もあったらしいが、でもこれ、私が新聞購読者だったなら、きっと毎回楽しみに読んでしまったに違いない。
舞台は富山。
珍花奇草を愛好する知事令嬢の勇美子は、なんとしても黒百合を入手したいと思っていた。
(はて?黒百合とは?いったいどんな花なんだ?)という読者のために、鏡花は作中でこんな風に紹介してくれる。
その黒百合というのは帯紫暗緑色で、そうさ、ごくごく濃い紫に緑が交った、まあ黒いといっても可いのだろう。花は夏咲く、丈一尺ばかり、梢の処へ莟を持つのは他の百合も違いはない。花弁は六つだ、蕊も六つあって、黄色い粉の袋が附着いてる。私が聞いたのはそれだけなんだ。西洋の書物には無いそうで、日本にも珍らしかろう。書いたものには、ただ北国の高山で、人跡の到らない処に在るというんだから、昔はまあ、仙人か神様ばかり眺めるものだと思った位だろうよ。東京理科大学の標本室には、加賀の白山で取ったのと、信州の駒ヶ嶽と御嶽と、もう一色、北海道の札幌で見出したのと、四通り黒百合があるそうだ
なかなか丁寧な説明だと思うが、それでもイメージがわかないという方のために、ここは一つ、我が家の庭に咲くクロユリをご紹介しよう。(※文末の写真参照←これがやりたかったらしくかなりのどや顔)
神通川の支流の奥「石滝」の背後には、人がその地へ踏み込むと暴風雨になると恐れられている「魔所」があって、黒百合はそこに咲くのだという。
花売り娘の雪は恋人の目の治療費欲しさに、この黒百合を取りに行こうと決意する。
その娘の後を追うのは、(あわよくば人気のない山中で…)と良からぬことを企む雪の美しさに魅せられた男たち。
さらにその後を泥棒華族・滝太郎が追い……。
果たして誰が黒百合を手に入れることが出来るのか?
そしてまた雪の心を射止めるのは……!?
はたまた破られた禁忌は、本当に災厄を招くのか!?
流域の村々をたびたび襲ってきた神通川流域の洪水と、立山に伝わる「黒百合伝説」を結びつけ、さらには当時、文壇で流行しはじめていた“冒険小説”の流れにのった、泉鏡花の新聞小説。
発表当時から構成上の欠陥が指摘されるなど、作品の完成度には色々批判もあったらしいが、でもこれ、私が新聞購読者だったなら、きっと毎回楽しみに読んでしまったに違いない。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
この書評へのコメント
- toribakohouse2021-06-16 13:43
クロユリいいですね!山野草ならではの楚々とした美しさがありますよね。
まるで紫紺の和服を纏った和服美人のかもめ姐さんの立ち姿を思い浮かべてしまいました(*´∀`)ノクリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 コメントするには、ログインしてください。
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- ISBN:B009AKGTBK
- 発売日:2012年09月13日
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