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あの時誰かがかけてくれた一言が、その人にとって「おまじない」のような大事な言葉になることだってあるんだ。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
  • おまじない (単行本)
  • by
  • 出版社:筑摩書房
おまじない (単行本)
西さんの久しぶりの短編集でした。

8編のはなしは、読んでいるうちになにか共通項が潜んでいるような気がして「!」と来る瞬間があった。そのくりかえし感じた「!」。言葉を当てはめるとしたら「仮面」かな?

他人から見えている今ある姿は本当の姿ではないことはままある。
気に入られるよう、みんなからはみ出さぬよう、相手を落胆させぬよう・・・・自分を演じるということは何も大人社会だけではなく、子供だって時にそんな振る舞いをする。

本書に登場する女性や女の子はみんないろんな形で傷つき悩んでいる。そんな彼女たちは読んでいてこちらが居たたまれなくなるほど「痛い」と感じる場面もあるのだけれども、誰かのちょっとした言葉に救われる。

「あなたは悪くない。」「あなたがいてくれて、本当に楽しいです。」等々、荒んだ心に灯をともしてくれるような魔法の言葉。

言葉は時に人を傷つけるものになるが、言葉によって救われることもたくさんある。そんなちょっとした誰かのこころからの温かい言葉に救われ、彼女たちは明日を生きていく。だからどの短編も後味がすこぶる良いのです。

さて、西さん出産後初作品だから、きっと「生命」に纏わる話があるはず。・・・と楽しみにしていたら「マタニティ」というタイトルが。生命の神秘とかが描かれるのではないかと想像していたけれど、これまたいい意味でひっくり返されるような話。「母性」という言葉からどんどん遠ざかるような展開で驚いた。

読後に知ったのは、この話はご自身の妊娠から着想したのではなく、元野球選手の清原和博氏から生まれた作品だと言う。作品の源は本当にどこにあるか分からないものです。

「係だと思ったら、なんだって出来るんです。」

本書に出てきた言葉。冒頭わたしは「仮面」と言う言葉を使ったが、そうそう「仮面」と言うより、彼女たちはみんななにかの「係」なんだ。この「係」という言い方がもっともふさわしく「!!!!」がマックスに(笑)

一話目からがっつり気持ちにエンジンをかけて最後まで一気読み!どの話も充実していてあっという間に読み終わってしまい名残り惜しい.....のはいつものことなんですけどね。


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  • 掲載日:2018/05/24
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この書評へのコメント

  1. たけぞう2018-05-28 18:00

    なるほどー、仮面ですか。なるほどー
    追記)すみません、すごくしっくりきて、あらたな用語を知ったのが嬉しくて暴走してみました。

  2. Kurara2018-05-27 21:09

    たけぞうさん♪
    用語とはなんだろう?? 流行に乗り遅れたか!?
    変態仮面はHKと略すのかw

    次回は山内さんあたりの新刊でシンクロりそうな気がします~( `・∀・´)ノヨロシク

  3. たけぞう2018-05-28 18:03

    Kuraraさん
    分かりにくくて失礼しました。仮面という用語を普段使わないので、かっこいいなーと思いつつ知識が広がった感じがしまして。ところで山内マリコさんの新刊情報、ありがとうございます。チェックしておきます。
    小川糸さんのミトンのお話が素敵だったので、ラトビア関係でエッセーも書かれたようなのでチェックしました。お返しの情報です。

  4. Kurara2018-05-28 21:39

    たけぞうさん♪
    なるほど~そうだったんですね!
    小川さんって結構な旅人さんですよね。今回はラトビアなんですね。
    ご紹介ありがとうございます。

    本日upされた「ウィステリアと三人の女たち」は、ただいま予約待ちですよ~~
    川上未映子さん、エッセイは読んだことがありますが、小説は初読みです。
    さて、合うか合わないか、ちょっと楽しみになって来ました。

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