主人公は、日本で20人目の女性裁判官である静おばあちゃん80歳と10歳年下の名古屋財界の重鎮、不動産王の玄太郎。
静は、80歳になっても、いろんな大学から特別講師や講演会の要請がひきもきらない状態。一方玄太郎もその威光は衰えず、商工会議所の会頭をしたり、町内会長などの世話役をしたり、それなりに忙しい身。ただ、玄太郎は少し前に脳梗塞に襲われ、その後遺症で車いす生活を強いられている。
2人は一見相反しているように見えるが、おもしろいやりとりをしながら、周りで起こる事件を解決するミステリー短編集。5作品が収録されている。
私は毎日犬の散歩をしている。その散歩の途中に、庭に船のコンテナをうずたかく積み上げている家がある。時々、その家の近くにある喫茶店に犬と一緒に立ち寄る。どうしてあんなにたくさんのコンテナを置いているんだろうと店主に聞くと、コンテナをトランクルームとして貸し出す仕事があり、家で起ききれなくなり、殆ど使うことが無い物品をコンテナを借りて蔵置したり、古老の人が、施設に入居したため、残った空き家の品を預けるために使用する需要がけっこうあるという。
こんなコンテナ貸業を営んでいる丸亀国彦。その父親で米寿をむかえ、長老といわれている昭三。この昭三の認知症が進む。そして弱ったことに、街へでて、万引きをしてくる。その品物がお弁当や昭三が着ることができない、子供の服とかサイズのあわないズボンや服や下着。認知症も患っているし、88歳という老人。警察署に引き取りにきた国彦に厳重注意をするだけで昭三は釈放される。そんなことの繰り返し。
そんなにたくさんの物品を万引きして、どうしているのだろうと不審に思った静と玄太郎が国彦の家に忍び込む。すると驚いたことに、昭三の住む部屋は家の中にはなく、コンテナに住んでいた。そこからは、腐臭がただよっていた。そして、コンテナの中には、中国やベトナムから運ばれてきた不法入国者家族が詰められていた。サイズのあわない服や下着、大量の食物はこの家族のためのものだった。
レンタルコンテナ業がうまくいかなくなったため、国彦はとんでもない犯罪をしていたのだ。そういえば、今から10年ほど前には蛇頭がこんな商売で暗躍していたという噂が流布していた。
あの積み上げられたコンテナの中には、たくさんのアジア難民が暮らしていたのかと思わず想像してしまった。
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