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 なかよしのことりが死んでしまい、心を閉ざしていたくまはやまねこに出会ったことで次第に悲しみから立ち上がる。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
くまとやまねこ
 なかよしのことりが死んで、きれいな箱の中に花びらをしきつめその中にことりをいれたくま。どこへ行くにもその箱を持ち歩くくま。箱に興味を持った森のどうぶつたちに箱の中を見せると困った顔をしたどうぶつたち。そして、どうぶつたちはきまって辛いだろうけど忘れなくちゃと言うのだった。とうとう、くまは自分の家に閉じこもり心も閉ざしてしまった。

 ある日、久しぶりに窓を開けたくまは良い天気に誘われて森を歩きやまねこに出会った。やまねこは、ことりが死んだ悲しみを共感してくれて、バイオリンを弾いてくれた。くまはことりと一緒に楽しかった日々を思い出し次第に心癒されていく。


 絵本の最初に「ある朝、くまは ないていました。なかよしのことりが、しんでしまったのです。」といきなりことりが死んだことが綴られていて、絵の色も前頁黒一色なのでくまの心がどんなにか暗いかが伝わってくる。くまがことりと一緒に過ごした楽しかったことを思い出していく過程では、ことりが少しだけ色づいていくが全体的に死のイメージが漂う。静かに死を考え、大切な人を失った悲しみの大きさを想像できるような描写だ。どちらかというと子ども向けの絵本ではなく、おとな向けの絵本かもしれない。やまねこと出会い、悲しみから前向きに生きられるようになるくま。

 この絵本を読んでいてスーザン・バーレイの「わすれられないおくりもの」を思い出す。死んでしまったアナグマさんがしてくれたことをみんなで語りあううちに、みんな次第に元気になってアナグマさんとのことが楽しい思い出となっていくという話だ。悲しみにひたり、故人との思い出を言葉にするうちに生きている者は自分は、元気になって生きて行こうと思えるようになっていくその過程の中で、いかに死を悲しみ、故人の話をすることが大切なのかということが伝わってくる。悲しいけれど、静かで穏やかな気持ちになる素敵な作品だった。



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  • 掲載日:2025/05/12
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