タロットカードといえば絵札にあたる大アルカナに目がいきがちですが、小アルカナもタロットを構成する重要な要素だ。
「棒」「杯」「剣」「金貨」という4つのスートがあって、それぞれにエースから10までの数札と、小姓、騎士、女王、王の4枚の人物札からなる56枚で構成されている。
トランプよりちょっと枚数が多くて、ジョーカーの代わりに大アルカナがあると思えばいいのかも。
この紙のカードの歴史は7~9世紀の中国に由来していて、これがペルシャを経由してイスラムにわたり「マムルークカード」となった。
これが西ヨーロッパに渡ったのが14世紀ごろ、そして15世紀半ばにイタリアで切札も加わってタロットが成立したという。
それぞれのスートを見ていくと、「棒」は火のエレメントとして情熱や意志を表している。
この棒=火の概念で、ハインリヒ・フリードリヒ・フューガーの「人類に火をもたらすプロメテウス」の絵やドラクロワの「民衆を導く自由の女神」が名画のコーナーで紹介されています。
続いて「杯」ですが、これはもちろん水のエレメントだ。
愛情や人と人とのつながりを表しているとされるが、杯を酌み交わすシーンを思い浮かべればわかりやすい。
名画はアーサー・ヒューズの「聖杯を探すガラハッド卿」でした。
「剣」は思考や分断を表す風のエレメントに配当されていて、知性や悲しみを表している。
名画で紹介されるダヴィッドの「ホラティウス兄弟の誓い」やミレイの「ジャンヌ・ダルク」を見ればその言わんとすることも理解できる。
鎧を身に着け剣を持つ手を膝に置き、天啓を待っているのか自らの運命を省みるのか、天を見上げるようにしたオルレアンの乙女の表情が素晴らしい。
あまり見たことない絵だなと思ったら個人蔵だった。
最後の「金貨」はもちろん地のエレメントですが、ドワーフがせっせと地中を掘っているイメージと重なるかも。
金貨は富や価値を保存すること、そしてそれを交換可能なものとすることを意味しており、物質や肉体を象徴するそうだ。
名画はミダス王の神話を描いたアーサー・ラッカムの「黄金の像になったマリーゴールド」と、リチャード・ウェストールの「アントニオを拒絶するシャイロック」だった。
このスートのベースのイメージに加え、それぞれの数札や人物札にも意味があるそうで、やはりタロットって記憶力とイメージの世界なんだというのがよくわかりました。
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