『DNA (上)(下)―二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで』 ジェームス・D.ワトソン著 アンドリュー・ベリー著 青木 薫訳を読む。
ジェームス・D・ワトソンはDNAの発見者、遺伝学会の藤子不二夫ことワトソン&クリックの相棒。
この本は「二重らせん発見五十周年記念プロジェクトの一環」として生まれたもので、
「DNAやバイオテクノロジー」をテーマに、その功罪を取り上げている。
カラー図版が大サービスで何葉も挿入され、理解を促進させる。
作者はともかく実直な人柄だったようで文章の端々にそれが出ている。
引用二箇所。
「(ヒトの遺伝子が少ないことに言及して)私は、知的だからこそ遺伝子は少なくてすむのだと考えたい。知的であるおかげで−一部略−わずかな数の遺伝子(三万五千を「わずか」と言えるなら)で複雑な機能を実現できるのではないだろうか」
「ヒトの染色体とチンパンジーの染色体は良く似ているが、チンパンジーの染色体は二十四対なのに対し、ヒトの染色体は二十三対である。ヒトの二番染色体は、チンパンジーのふたつの染色体が融合してできたことがわかっている。−一部略−しかしこれらの違いが重要かどうかは難しい問題だ」
「これらの違いが重要かどうかは難しい問題だ」そうなんだ。
研究や学問ってこういうもんだと思う、本来。
無駄、役に立たない、雲をつかむような、あるいは変人、変わり者。
そんな研究者たちの成果によって、結果として、ヒトは発展してきた。
発展といっていいのかどうかわからないけれど。
そしてようやくヒトゲノム(ヒトの全遺伝子情報)は完全解読されたそうだ。これにより、
「遺伝性疾患の研究や検査などに利用できて、生物学や医学の進歩に寄与する」と。
ただし、これも個人情報ゆえ全遺伝子情報の漏えいや売買からヒトの遺伝子操作など
SFのような話が現実のものとなる。
たとえば結婚相談所が依頼を受け交際相手のヒトゲノムを入手して
罹りやすい病気や人種、生殖能力などを調べるといったような。
ヒトゲノム完全解読、「究極の個人情報」にアクセスできる時代に起こり得ること
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