この悲しい物語も、早くも三巻目。
今回の冒頭は存在は確認されてはいるが歴史上の記録は無い静物「マンモス」がテーマ。
一応狩猟対象ではあったが、現在の研究ではエサとなる寒冷植物が減った事など諸説があるが、大きな食糧の一つとしていた人類が絶滅の一因でも有った様だ。
先般、ツンドラで発見された冷凍マンモスのDNAを採取して、クローンを作るという計画はどうなったのだろう?
二匹目はヨーロッパ原牛とも呼ばれる「オーロックス」野生種は1627年に絶滅しているが、この種はヘック兄弟による再生活動が描かれている。第一次と第二次の世界大戦当時、まだDNAなどゲノム問題はまだまだ解明されておらず、ヘック兄弟は飼育されているオーロックスの交配で理想の姿のオーロックスを産み出そうとするが……読みながらまるでナチスの優性思想だなぁと思ったら、やはり兄のルッツはナチの優性思想の信奉者だった。
三羽目は「スチーブンスイワサザイ」 生息したのはニュージーランドの北島と南島の間にある長さ1.6キロの小さな島で、薄明簿暮性の飛べない鳥。 発見者はニュージーランドの鳥類学者ウォルター・ブラーとアマチュア鳥類コレクターのロスチャイルド。この二人の論文争い(命名権争い)が描かれている。当時はインターネットどころか通信手段も無く結局……しかしブラーが亡くなった頃には人が持ち込んだ猫によって、「スチーブンスイワサザイ」は絶滅していた。
四頭目は「シフゾウ」……かの「蹄は牛に似て牛に非ず、頭は馬に似て馬に非ず、身は驢馬に似て驢馬に非ず、角は鹿に似て鹿に非ず……」と言われたシフゾウ(四不像)である。 清朝の皇帝の猟場、南苑に飼われていた「シフゾウ」は、その後の清朝滅亡期1920年に全て居なくなったが、その前に数頭が英仏等に買収されたおかげで、逆に絶滅を免れた貴重な例である。野生種は絶滅したが、現在世界中で飼育下にあるシフゾウは7000頭居る。
5話目は「ミヤイリガイ」(「カタヤマカイ」とも) これは逆に国家が絶滅を目指した淡水性の貝である。
日本住血吸虫という寄生虫をご存じだろうか? 紐状の形の、細長い吸虫。雌雄異体で、雌は黒褐色で細長く、最終的には人・牛・犬・猫等哺乳類の血液中に寄生し、赤血球を栄養源として成長する。最終宿主は死亡するが、その中間宿主として九州帝国大学の宮入教授が淡水性の巻貝を中間宿主と発見したため、「ミヤイリガイ」と命名された。本種はその生息地を徹底的に駆除を行った。
「ミヤイリガイ」は現在絶滅危惧Ⅰ類である。
6頭目は「クァッガ」である。 この半身がシマウマで後半部が馬という……アフリカ南部に生息していたが、居住していたボーア人によって放牧の邪魔になる害獣とされて、1883年絶滅した。
7例目は「ウェーククィナ」だ 第二次大戦中の南太平洋ウェーク島は絶海の孤島であるため、米軍はとくに奪回作戦を行わず封鎖と空爆のみにとどめた。このためウェーク島の日本軍守備隊は食糧が欠乏し、飢えをしのぐために飛べないウェーククイナに目をつけた。日本兵に喰い尽くされ戦後の調査では
1羽も見つからなかった。
そして最後の8羽目は「トキ」(ニッポニア・ニッポン)である。農業の害鳥とされて減少し、気が付くと残りは数羽。慌てて保護に努めてみたが、人工飼育など焦っても時すでに遅し、2003年に最後の日本産トキ「キン」が死亡したことにより、現在、繁殖しているのは中国産の子孫である(種としては同一とされる)中国産の子孫が増えたとはいえ、現在は絶滅危惧種であることに変わりはない。
この物語は尽きることのない絶滅の話が続いていく。恐らくすべてを描いたら100冊では済まないだろ。
オランウータン・アジアゾウ・ホッキョクグマ・ラッコ・クロマグロ……
絶滅してからでは遅いのです。
この書評へのコメント