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生命科学者として著名な中村さんがこれまでに読んできた本の書評をまとめたものです。

  • 今 地球は? 人類は? 科学は? 〔生命誌研究者、半世紀の本の旅〕
  • by
  • 出版社:藤原書店
今 地球は? 人類は? 科学は? 〔生命誌研究者、半世紀の本の旅〕
中村桂子さんは生命科学研究者として有名な方ですが、このところご自分の研究分野を「生命誌」として、地球全体の生命を考える活動を続けられています。
そのような中村さんが、これまで半世紀にわたって読んできた本の書評を集めたのが本書です。

おおまかに分野を分け、1科学とは、科学者とは、2「環境問題」として浮かび上がった地球の今、3こころを考える、4AIはあくまでもAIである、5生命誌の中に人類史あり、6子どもたちへの眼差し、7こんな切り口が新しい道に続く、8生命誌と重なる知、9戦争は日常を奪う「最大の環境破壊」とまとめてこれまでにあちこちに書いていた書評をまとめています。

選ばれている本はどれも名著と言うものが多いようですが、私はそのうち読んだことがあるというものは少ないようで、本の選び方というものに少し問題があると感じさせられます。


E.シャルガフの「ヘラクレイトスの火」という本は、本の名だけでなく著者のシャルガフさんの名前も知らなかったという、恥ずかしいことになっていました。
シャルガフは分子生物学者であり、DNAにおいてアデニンとチミンの含量、グアニンとシトシンの含量が等しいという、「シャルガフの法則」を発見した人です。
ワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造を発見する際の重要な手がかりとなったのですが、ワトソンとクリックは自分たちの論文にシャルガフからの引用ということを明記しませんでした。
そのため、シャルガフはノーベル賞をもらい損ねたということです。

中村さんは研究生活の最初からシャルガフの論文に影響されていたそうです。
その後、フランスに出かけた時にシャルガフ夫妻と同じ自動車に乗ることとなり、話をしたのですが、中村さんはコチコチになって緊張したそうです。


宮脇方式の森を発展させる会編「九千年の森をつくろう!」では宮脇昭の言葉を紹介しています。
ふるさとの森つくりを提唱してきた宮脇は多くの人々に深い影響を与えてきました。
私も高校生の頃に自校に講演に来てくれた宮脇先生の言葉を覚えています。


ほとんど読んだことのない本ばかりと言いましたが、その中で新井紀子著「AIvs教科書が読めない子どもたち」という本は最近読んでいました。
書評は自分自身のものと比べてもさほど違いはないものと感じ、光栄です。
新井さんが最先端のAI技術者・研究者であることを考えた上で、「現在真の意味のAIは存在せず、ただ単にAI技術というものがあるだけ」という文章は重いものでしょう。
結局「AIが人間の能力を越える」などと言っているのは本当の研究者たちではないということです。
そして、この本の凄いところは、後半で「しかし中高生の3分の1は簡単な文章も理解できない」というところでしょう。
AIに仕事を奪われるどころか、仕事に就くことすら危ないということです。

これは読んでみるべきだというのが、ローマン・クルツナリック著の「グッド・アンセスター わたしたちはよき祖先になれるか」でした。
長期思考というものを深く考え、このあとどうしていけばよいかを論じているということです。
これも本の存在も著者の名前も全く存じ上げないものでした。

さすがに中村桂子さん、非常に深い意味を持つ本を次々と読み、的確な書評を書いているものだと感じます。

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  • 掲載日:2026/05/02
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