「私」の視点で経年的に語られていく、という小説ですが、
「私」が「結珠(ゆず)」と「果遠(かのん)」の二人の立場を行ったり来たりする、という形式で話は進んでいきます。
第1章 羽のところ
第2章 雨のところ
第3章 光のところ
第1章は、小学2年生だったときの二人の出会いと別れを
第2章は、果遠が結珠の高校に入学してくる形での再会と別れを
第3章は、29歳となり、家庭も持った二人の再会(再再会?)とその後を
描きます。
ボリューム的には、第3章が全体の3分の2ほどを占めます。
一番印象的だったのが、第1章でした。
裕福な家庭に育ち、私立小学校に通う結珠は、高圧的な母親に服従するだけの生活に息苦しさを感じている。
母子家庭の子・果遠は、自然派を謳う母親の偏った価値観に翻弄され、周囲の差別を受けている。
二人の惹かれ合う様子は、共感できました。
この時の出会いが、のちの結珠の仕事を決定づけることになる、という流れも説得力があります。
章のタイトルとなった「羽」という小道具(果遠の隣に住むお姉さんが飼っていたインコ)の扱い方もとても効果的だと感じました。
ここでググっと惹きつけられたので、どんどんとページを繰っていくことができました。
ところが、第2章、第3章と進むうちに、徐々に違和感も覚えるように。
・静かに耐える優等生の結珠、
・強くしなやかに生き抜く果遠
というキャラクターの対比には納得なのですが、
なんとも気軽に睡眠薬を持ち出す果遠や、
夫・藤野さんと果遠を天秤にかけるような思考をする結珠には、共感できず。
ということで、ラストシーンには「??」となってしまった私なのでした。
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