東野圭吾作「素敵な日本人」を読みました。短編集です。玉石混交です。
しょーもない事件を驚きの視点でしめくくる「正月の決意」。意外な結末に
驚く「10年目のバレンタインデー」。ちょっとほろっとくる結末の「今夜は
一人でひな祭り」。思わぬ工夫で読者を驚かす「君の瞳に乾杯」。そうなる
か?という結末の「レンタルベビー」。ちょっと切ない終わり方の「壊れた
時計」。猫好きにはたまらない「サファイアの奇跡」。これはちょっと凡庸
だった「クリスマスミステリ」きっとこのネタで一本長編をお書きになるん
だろうなあというあっと言う発想の「水晶の数珠」。
以上8本から成る短編小説集です。ものすごいおすすめ、というものでは無い
のですが、やっぱりこれだけいろいろ書けるのは日本では東野先生お一人で
すね。大概の作家さんは途中で息切れしてしまって自己模倣に入るか、つま
らない作品を連発して読者に見放されるか、まあどっちかでしょうね。
どうして東野先生一人がこんなネタを思いついて作品に出来るのか想像もつ
きません。アンダーライターを複数お雇いになって書いておられるでも別に
構いません。猿まねと盗作はいけませんが、お金を払ってネタを得るのは恥
ずかしい事でも何でもありません。むしろ小説家にあってはならないのは、
つまらないとわかっていて出版することであり、過去の美名にすがって出版
させてしまう出版社でしょう。
金を払って買うこっちの身にもなってくれと言いたいです。こないだ村上春
樹の長編小説を読みましたが、やはり日本人作家にも構想何年とかいう時間
を与えてやるべきなんじゃないでしょうか?読み切り短編小説をいくつ書い
ても筆名は上がらないだろうと思うのですが。毎日の生活が大事なんですか
ねえ。まあ仕方がないことなのかもしれませんね。
ともあれ、東野先生は、払ったお金の分だけは、ちゃんともとを取らせてく
れる得難い作家さんだとこの作品でも深く思ったことでした。
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