邦訳の順で最後になったが、シリーズとしては第二作。
オリヴァーは妻のコージマの不安定さに神経質になっているし、ピアはまだ夫とは離婚していない。
やっぱりシリーズは順番に読んでいきたいなと思う。この際、もう一度順番に読んでみようかと思う。
この作品も「悪女は自殺しない」同様、被害者は敵が多い。
いわゆる「環境保護活動家」なのだが、政治家や事業者や動物園にでも、とにかく難癖をつけてはトラブルを起こす。毎夜の大騒ぎに隣人も怒り心頭、古い友人にも古い傷口を開くようなことを言って怒らせる。
つまりは誰が被害者を殺してもおかしくない。今回殺されなくても、近い将来、きっとほかの誰かに殺されているだろうというような事件だ。
そして調べれば調べるほど被害者の別の顔が見えてくる。
金を持たないから誰彼構わず難癖をつけているのかと思いきや財産は意外にあり、元妻に捨てられたのかと思ったら逆だった。
そして被害者と敵対する人々や、逆に慕う若者たち、周辺の人々もまた何かを隠し嘘をついている者ばかり。
オリヴァーとピアもお手上げだ。
正直ここまで来ると誰を犯人にしても良さそうなもので、そこをどう驚きと納得の真実に持っていくのかと思っていたら、なるほど、終盤にそういう事実を突っ込んできたか。
ややズルいような気もするが、事前にちゃんと伏線を用意しているのだから、まぁ良いか。
ところで外国の作品を読むたびに日本とのお国柄の違いを感じるのだが、このドイツの作品もまたそうだ。
男女関係や夫婦関係、時には性的な話題まであけっぴろげに職場で話すのには驚かされる。
そもそも日本の警察物なら、警察官が事件の関係者と個人的な関係を持つのはご法度として描かれる。それでも時には相手に好意を持ってしまうこともある。だがそこはあくまで禁断の、というか障害として描かれる。
だがこちらではそういう「ご法度」感がない。ピアは平気で事件関係者と個人的な交流をしようとする(男女関係にまでは発展しないが)。
そして同僚のカイはそのことを知って咎めるどころかからかっている。それも前向きな「良いね!」的な感じで。上司のオリヴァーは「愛の告白は後にしてくれ」と事件の佳境のその最中にそんなことを言うし。
まぁそう言えばマンケルのヴァランダーシリーズでもオールスンの特捜部Qシリーズでもコナリーのハリー・ボッシュシリーズでもその辺オープンなので、世界から見れば日本が逆に変なのか。
でもやっぱり日本人の感覚からすると、こういう描写は気恥ずかしい感覚なんだけど。
それからピアとフランクの険悪な関係が最後にちょっと改善されたようでホッとした。
途中はどんどんエスカレートしていくのだが、フランク、もしかしてピアが好きなのか?子供じみた気の引き方でもしているのか?というくらいだった。
登場人物が多すぎて度々登場人物一覧を振り返りながら読み進めたけれど、それでも楽しく読めた。
しかし若者の危うさを嫌でも感じた。これと思い込むともう止まらない。それが良い方向に向けば良いのだが、実際その時はそれが良いことだと感じていても、実は周囲に迷惑をかけるばかり、そして自身も傷ついただけだったということもある。
しかしそれが良いことなのか良くないことなのか、それを判断するには大人ですら難しい時もある。それが悩ましい。
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