本書には教科書的な概論などはなく、個々の研究者の追っているテーマをそれぞれが紹介しており、「認知科学とは何か?」ということが直接にわかるわけではない。「心の研究」という大枠をもちつつも、17に及ぶ各章は、言語、心理、発達、動物、脳科学などなど、いろいろある。
「認知科学のおもしろさを伝えたい」という編者の強い思いから編まれたそうだが、冒頭でも言及されているように、認知科学は研究として相当な広がりがある。一方で、概説書となると意外に多くはなく、その空白を埋めるためにも、一般の人から学生・隣接諸領域の研究者まで、広い読者が想定されている。
読む側も、ミステリーなどを読むのと同じくらいのつもりで、面白いか・面白くないかを判定すれば良いのかもしれない。筆者の肩書きや、英文ならぶ文献一覧などを見てひるんではいけない。予備知識なしで、その文章がどれだけわかりやすく、面白いのか、の一本勝負なのである。
「つまらない」「わかりにくい」「なぜ、この研究をするのか?」「なぜ、この対象でなければいけないのか?」・・・と、読者は素朴な疑問をどんどん投げかけるべきである。そして、認知科学者はそれにこたえていかなければならないのだ。
*初出:bk1 2006年1月14日
・再掲載にあたり、いくつか文言の修正や改行などを行いました。
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