放置された電車が朽ちていく様子にはもの悲しさを感じます。もっと大切に扱ってほしかったなと思いつつ,なぜ,そんなことになってしまったのかと。ほぼ,モノクロの写真中心に紹介されています。私も鉄道ファンの端くれ(?)ですが,電車が放置されてボロボロに傷んでいく姿はとても残念で悲しいです。著者と同世代ですから,懐かしさとともに貴重な写真だと思いつつ,悲しさが先に立ってしまいました。
「あとがき」がとても印象的でしたので,ご紹介します。著者の父は,将棋のプロ棋士でした。ご存知のとおり,将棋は待ったなし,指し直しも許されません。そのことを指して父は息子に「将棋は一手しか指さない。待ったも指し直しも許されない。一カ所で何枚も無駄に撮りまくるカメラマンなど,インチキ同然だ」と言ったそうです。そんな持論の持ち主だったと紹介されています。著者も父の考えには筋が通っていると納得し,それがあって,ひとつの廃線をフィルム1コマで表現する約束を交わしたそうです。だからでしょうかね。一枚一枚の写真にもその思いが籠っているような気がします。
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