地球上にはさまざまな生き物が活動している。
なかには、一見すると似ているが別種のもの、同種なのに似てないものもいる。
また、同じような部位でも、まったく機能や仕組みが違うものもあるらしい。
なぜ、このような事態が起きているのか。
この疑問に対応するため、本書は比較するという方法を提唱する。
サメとクジラが異なることはよく知られているだろう。
サメは魚類で、えら呼吸。
尾びれを左右に振りながら水の中を進む。
体温はまわりの水の温度とほぼ同じという。
ほとんどが卵で生まれるとか。
他方のクジラは哺乳類で、肺呼吸だ。
尾びれは上下に振る。
体温は約37度とやや微熱気味で、一定。
子どもはお乳で育てる。
では、なぜ似たような形状となったのか。
それは、どちらも水の中を速く泳ぐための少しずつ進化した結果とのこと。
ガラパゴス諸島に生息する小鳥、ダーウィンフィンチ。
共通の祖先をもつというこの小鳥は、環境の違いに応じた変化を示す。
大きくて固い種子を食べるオオガラパゴスフィンチは、太く立派なくちばしを持つ。
サボテンフィンチは、トゲを避けるためか少し長めのくちばしとのこと。
食べ物によるくちばしの差は、別種の鳥で比較すると分かりやすい。
まっすぐ細長いくちばしのハチドリは、ホバリングしながら花に突っ込むのに適している。
長く湾曲したシギのくちばしは、砂の中を探る機能を有するそうだ。
また、一見すると同じような部位でも、大きく異なる特徴を示すものもあるとのこと。
軟体動物のタコとイカ。
足(うで)の数は8本のタコと10本のイカという差がある。
そこの吸盤に大きな差が隠れていた。
タコの吸盤は筋肉でできており、一度吸い付いたらなかなか離さない力を持つ。
対するイカの吸盤の中にはトゲつきのリングがあり、獲物の体に食い込むそうだ。
墨にも違いがあるらしい。
タコの墨はねばり気が少なく、煙幕のような身を隠すための吹き散らす。
体内の墨の量は、イカより少ないそうだ。
イカの墨はねばり気が強く、自分と似た形のものを吹き出しておとりとするとのこと。
さらにイカの墨袋は取り出しやすい特徴も持つ。
ねばり気があって、墨袋を取り出しやすいからこそ、イカ墨パスタなどで調味料として使われるのだろう。
イソップ童話に「ひきょうなコウモリ」という物語がある。
獣一族と鳥一族の争いのなか、どちらにも自分は味方といい顔をしていたコウモリ
双方和解の後、どっちつかずのコウモリは仲間外れにされることに。
では、実態は?
153頁に掲載されているコウモリとヒト、鳥のレントゲンイラストを比較すれば明瞭だ。
コウモリには指の骨があり、空を舞う翼は指の間をつなぐ膜ということ。
つまり、コウモリは骨格から明らかに獣一族なのだ。
この事実を知っていれば、コウモリも腹をくくって鳥一族と戦ったことだろう。
イソップのコウモリにも一読を薦めねば。
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